セクハラ、訴える勇気

チュニジアのある町。学生パーティに出かけるマリアムは興奮している。念入りにメイクし、友達から借りたちょっと大胆なドレスを着ていざパーティへ。
オリエンタルな音楽で踊り、見染めたユーセフと外に出たマリアムは、車に乗った2人組に強姦される。悪夢の始まり。
マリアムは回教徒。結婚するまで処女であることが肝心だ。強姦された証明をもらおうと病院に行くと、身分証明書がないと診てあげられない、警察に行けと言われる。身分証明書を入れたバッグは強姦された車の中に置いてきてしまったのだ。ユーセフに付き添われて警察へ。

不幸中の不幸は暴行犯人が警官だったこと。身内の恥をさらしたくない警官たちは「強姦されたなんて、君の、いや君の家族の恥じゃないか。訴えを取り下げろ」。威圧的な説得は次第に脅しになっていく。

「何しに来たんだ?」 この人たち、ヤクザじゃなくて警察官。

映画『la belle et la meute』(美女と猟犬の群れ)

パーティで出会ったユーセフは、自分の尊厳を護るために訴えろと励ます。

映画『la belle et la meute』(美女と猟犬の群れ)
腐敗した警察の中でたらい回しにされる一夜を描いた『La belle et la meute/美女と猟犬の群れ』。

映画『la belle et la meute』(美女と猟犬の群れ)

実話をもとにしているというのが更に怖い。アラブの国の中でもチュニジアは最も近代化して女性の権利も比較的尊重されているはずなのに。
監督は女性、『Challat de Tunis』(チュニスの切り裂き人)のKaouther Ben Hania。セクシーな格好(ミニスカートやぴっちりパンツ)をしている女性が、男性にお尻をナイフで切り裂かれる事件をユーモラスに描いている。今度の作品は警察の腐敗と、それを知りつつ沈黙する人たちを正面から描くサスペンス。

アメリカでハーヴェイ・ワインスタインのセクハラ・スキャンダルの後、カナダ女性作家が始めた#MyHarveyWeinsteinに次いで、フランス版が登場した#Balacetonporc(あなたの好色漢を告発せよ)。職場で、メトロでセクハラ被害を受けた女性たちが一斉に口を開いて炎上した。
多くの場合、加害者は上司や権力のある人で、周囲も保身のため見て見ぬふり、被害者の話を聞き流す。あえて告発した勇気ある被害者の過半数が辞めさせられたり、格下げされていることがわかった。
世界でも女性の権利、地位が護られていると思われているフランスでこの実態!

この映画のマリアムの場合は宗教、家族。欧米では職場での報復を恐れて・・・理由は違うけど黙ることを選んでいた女性たち。ハーヴェイ・ワインスタイン事件は閉じ込められていた怒りの口火を切ったというわけ。

La belle et la meute

Kaouther Ben Hania(クテール・ベン・ハニア?)監督作品
チュニジア・フランス・スウェーデン・ノルウェー・リビア・カタール合作(!)
主演:マリアム・アル・ファージャニ、ガネム・ズレリ
1時間40分
フランスで上映中

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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


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