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久しぶりに映画館で泣いた

ブロンド、青い眼のオデットはバレエとお絵かきが好きな8歳の少女。
ある日絵を描いていると、両親の友人ジルベールが部屋に入ってくる。
「お人形さんごっごしない?」
「いいよ、どのお人形で遊ぶ?」
「ううん、オデットがお人形になるんだ、どう思う?」
「・・・・」

それから機会があるごとにジルベールの“くすぐりごっこ”は続く。
家族ぐるみのつきあいをしている両親の親友を告発することはできない。オデットは怒りと羞恥を抑え込んでいた。

精神分析家の門を叩き、溜めていた秘密をぶちまけるのは20年以上経ってからだ。
・・・と書くと、重苦しい内容だけど、アンドレア・ベスコンの自伝映画『Les Chatouilles/くすぐりごっこ』は意外な軽さで描かれる。
それでも、少女が”言えなかった傷”の深さが伝わり、泣いた。

映画『les Chatouilles』(くすぐりごっこ)

彼女は『くすぐりごっこ、または怒りのダンス』と題するひとり舞台(2015-16)をやり、モリエール賞(ひとり舞台部門)を取った。
ヒップホップとラップの中間のようなダンスは、テクニックよりほとばしる感情(つまり怒り)に圧倒される。

映画では初めて“他の関係者”も登場させ、彼女の体験はよりリアルになるが、精神分析家の部屋から子供時代のフラッシュバックになり、頭からお布団をかぶっている少女は、怒りのダンスを踊る30歳のオデットに変身する。

映画『les Chatouilles』(くすぐりごっこ)

テンションが高まるとダンスになる演出は、怒りと痛みを踊って紛らわしてきた彼女の20年間の軌跡に重なる。

andrea bescond

自分しか愛せず、波風を立てたくない母親(カリン・ヴィアール、写真左)は、
「何年も連絡しないで、今頃そんなこと言い出すの !?」
「ジルベールの子供のこと考えた?」と傷をえぐるような発言。殴りたくなった(ということはすごく上手い)。

映画『les Chatouilles』(くすぐりごっこ)
photos:allociné

自伝的ひとり舞台を映画にしたギヨーム・ガリエンヌの『不機嫌なママにメルシィ!』も傑作だった。こちらもお奨め!

Les Chatouilles
監督:アンドレア・ベスコン、エリック・メタイエ
主演:アンドレア・ベスコン、カリン・ヴィアール、クロヴィス・コルニアック、ピエール・ドラロンシャン
1時間43分
フランスで公開中


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(単純計算しても歳は出ません!)
訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とヴィンテージの服、デビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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