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脱帽!『パラサイト 半地下の家族』

湿っぽい地下室に親子4人が折り重なって暮らすキテク一家。
部屋の壁には内職で作るピザの箱が積み上げられ、窓の前は通行人の立ちションコーナーになっている。
運転手の父親は失業中、母も目下仕事がなく、息子はもう学校が続けられない。一家心中してもおかしくない状況なのに、キテク一家は仲が良く、機嫌もいい。

『パラサイト』ボン・ジュノ監督

ある日、息子ギウに美味しい話が舞い込む:富豪の娘の家庭教師をやらないか。
パーク一家のモダン&ミニマルな邸宅に着くと家政婦が迎え、シックでいかにも良家風の母親が現れる。
疑うことを知らない母親はギウをすぐ信頼し、末息子が「幽霊を見てから情緒不安定になった」と嘆く。
「そういえばアメリカでアートテラピーを学んだ知人がいます」とギウ。
”知人”は妹。キテク一家は金儲けのチャンスを嗅ぎ取るのに長けているのだ。

『パラサイト』ボン・ジュノ監督

カンヌ映画祭でパルムドールをとったポン・ジュノの『Parasite/パラサイト』

『パラサイト』ボン・ジュノ監督
photos:allocinés

ユーモラスに貧しい“一家”を描く出だしは、去年のパルムドール『万引き家族』を思わせる。
でも『パラサイト』は後半、富裕層VS貧困層の社会派スリラーになっていく(だからこれ以上言えない)。

人間や社会が、意識の奥や地下に押し込めている“見せたくない部分”を、シンボルの形で暴き、ユーモア、風刺、サスペンス、ヴァイオレンス・・・の多岐にわたるジャンルをまとめていくボン・ジュノの手腕にただ唖然。

ボン・ジュノ監督は『おそらく、海外の観客はこの作品を100%理解することはできないだろう。この作品はあまりにも韓国的で、韓国の観客が見てようやく理解できるディティールが散りばめられている。』
と語ったというけど、いえいえ!テーマは国境を越え、深い余韻を残す。
パリでは封切り(6月5日)直後、満席で観れず、次の回もすでに満席だったほど。3週間経った今でも週末は殆ど満席。20分前に着いて正解だった。絶対のお奨めです。

Parasite
ボン・ジュノ監督作品
主演: ソン・ガンボ、イ・ソンジュン、チョ・ヨジョン、チェ・ウシク
2時間12分
フランスで公開中

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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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