長谷川たかこのパリのふつうの生活
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パリのふつうの日常
従業員が強ーいフランス・・・
DATE : 2008-12-26-Fri Comment 0
私のオフィスは、いくつかの会社がはいっている広いワンフロアにある。色々な人が出入りするので変化のある毎日、ではあるが、電話やミーティングの声がうるさい、経営状態が筒抜けになる、という不便がある。

隣のオフィスは美術書の出版社、翌日にある営業会議の準備に忙しい。フランスでは(日本でもそうかも)、中小の出版社をいくつか受け持っている、書店周りのセールスマンがいて、定期的に彼らに新刊書の説明をする。本の売行きに関わる大事な会議だ。
夕方6時にアシスタントが帰ったあと、社長さんは会議のブロシャーの準備が終わっていないことに気がついた。
そのアシスタントの女性は、今年の初め子供が生まれて、子供の父親と結婚することに決めた。よくあるパターン。結婚式を数日後に控えて、気もそぞろ。上司がいないと、オフィスから招待客や、仕出屋や、結婚相手に電話して準備に余念がない。

社長さんは毒づきながら、資料をプリントし、穴を開け、スパイラルを通してブロシャーを作り始めたけど、慣れていないので、すごく時間がかかる。ますますイラだってきた。
「アメリー・ノートンって、コピーが出来なかったって知ってる?」と言ってみるけど、あまり慰めにならないみたい。とうとうキレて「ブロシャーはクリップで留めただけでいい!穴は開けない!」と投げ出した。

翌日。会議から戻ってきた社長さんに「うまくいった?」とたずねると「最悪」という返事。アシスタントが準備した資料に本の価格が抜けていて、営業にさんざん批難されたそうだ。

日本だったら、このアシスタント、クビになりますよね?ところが社長さんの怒り方は、いたってソフト。「君、今朝は困ったよ。次回は気をつけてもらわんと・・・ゴホゴホ」彼は風邪を引いている。アシスタント嬢の返事はこうだった。「あまり近寄らないでください、風邪がうつりますから。私は2日後に結婚するんです」
笑いをこらえるのに苦労した。
フランスは従業員が守られている国だけど、この社長さんは寛容すぎる!
その日、アシスタントが帰ったあと「俺も結婚するぞ・・・」とつぶやいていた。
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