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フランス映画の大物がまたひとり・・・

3年くらい前、郵便局で並んでいた時、隣のおじいさんに「こっちのカウンターでいいんですか?」と聞かれ、「ええ、一般用はこっちです」と答え、顔を見たらミッシェル・ピコリだった。
わたしはコーフンし、後ろにいた20代後半女性に「ミシェル・ピコリよ!」と囁いたら「それ、誰ですか?」と言われ、フランス映画の大物俳優を知らんのか!と内心思ったものだ。

ゴダールの『軽蔑』で、全裸でベッドに横たわり「わたしの脚が好き?」「わたしのオシリが好き?」と迫るブリジット・バルドーに「ウィ」「ウィ」と熱意なく答えていたポール。
クロード・ソーテの『すぎさしり日の・・・』では、まだ未練がある妻(レア・マッサリ)と、少し重くなってきた愛人(ロミー・シュナイダー)の間で揺れるピエール役。
そのほか『小間使いの日記』『ロシュフォールの恋人たち』『昼顔』『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』など60年代からフランス映画に欠かせない名優。美男ではないけど圧倒的存在感があった。

そのミッシェル・ピコリが5月12日、94歳で亡くなっていた、と家族が1週間後に発表した。

ミッシェル・ピコリ

高齢だけに準備万端できていたみたいで、すぐ追悼番組や作品集がテレビにかかり、昨日は『Une Etrange Affaire/奇妙な出来事』を観た。ピエール・グラニエ=デュフェールの1981年の作品。日本未公開。

妻ニナ(ナタリー・バイ)と暮らすルイ(ジェラール・ランヴァン、左)は、パリのデパートのマーケティング担当。ある日、デパートが買収され、収益向上のためやり手のベルトラン(ミッシェル・ピコリ)が送り込まれてきた。

ミッシェル・ピコリ

家族もなく、頭の中は仕事だけのベルトランは、ルイに目をかけ広報責任者に抜擢する。その代わり休暇は取り消し、残業も多くなり、ルイの私生活にまで侵入してくる。

初期の松田聖子みたいなヘアスタイルのナタリー・バイ

ミッシェル・ピコリ
photos:allociné

妻のニナは「わたしたちの生活が滅茶苦茶」と警告を発するが、「ベルトランがぼくを信頼している証拠だよ」「ぼくの将来がかかっている」とルイは取り合わない。
ニナはついに出て行ってしまい、ルイはベルトランのうちに泊まり込みで24時間つき合うようになる。そして年末、ミッションを終えたベルトランが外国に発ってしまうと、心身ともに路頭に迷うのだ・・・
というお話。
傑作というわけではなく、タイトルのように”奇妙な”作品。そして感想が夫と全然違う。
私生活が仕事に侵食され-日本妻は我慢するだろうけどフランス妻は愛想をつかせて出て行く-仕事一色になり、カリスマ上司がいなくなると路頭に迷う、というのは日本でありそう、とわたしは感じた。
夫は、ルイは仕事というより、ベルトランの人物に魅せられた。性的なものはなくても一種の同性愛だ、と。
育った環境や経験で観点が違うのは時に腹が立つけど、時には「そういう見方もあるのね」と面白い。


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コメント
とっても、大好きな1人の名優でした。
サン’スーシーの女では、ロミーシュナイダーの夫を演じていました。あの映画が大好きで、昨年か、その前にアマゾンジャパンで、DVDを購入。5月のミルも、楽しい作品でした。
そうそう、育った環境で見方が違ってしまって、こーゆう見方もある。これって、本当にそう思います。腹の立つ事も、卓さんありますけど(笑)
彼が、なくなったなんて、米国のニュースでも報じなかった。丁度、彼の映画『5月のミル』を見た後に、彼のことを考えていたんです。虫の知らせだったのでしょうか?彼の冥福を祈ります(合掌)
 お元気ですか?ご家族、特に旦那様の体調はその後いかがですか?
 ミシェル・ピコリを初めて「聞いた」のは、クロード・ソーテ監督の「Cesar et Rosalie」の最後の方に流れるナレーションでした。全く印象にはなく、後で知ったのですが。決定的に好きになったのは、長谷川さんがお好きと伺って見た「過ぎ去りし日の・・・」 この男!何なの!!と最初は思いましたが、なんと言いますか、引き込まれてしまうんですよね。彼の揺れるその気持ちも、分からなくもない。。。という感じになってしまいました。あの映画自体も、事故から回想する逆回転の進め方が面白くて、つい、見てしまう映画です。
 ご冥福を心からお祈りします。 
 ※「奇妙な出来事」、見たいです!
こんばんは!
私はアラン・ドロンとカトリーヌ・ドヌーブ位しか知りませんが、
この方のお顔は見覚えがあります。
94歳ですか。
私はもうすぐアラカンですが、知っている俳優さんやタレントさんが亡くなると寂しいもんです。
また、一人あの世へ旅立たれたんですね。
ご冥福をお祈り申し上げます。

Re:キャットラヴァー様
虫の知らせかもしれませんね。『5月のミル』は観てません。晩年の作品ですよね。
彼の死は日本のニュースでも見当たりませんでした。
Re: オワリ様
ありがとうございます。みんな元気です。オワリさんはお元気ですか?
『過ぎ去りし日の』は時間を逆行する撮り方も、2人の女に希望を持たせるシナリオも印象に残りました。
不思議な魅力の俳優ですね。
Re: マダム・ヒーヅル様
こんばんは。
アラン・ドロンは日本での人気のほうが高かったですね。
ミッシェル・ピコリは恐ろしく沢山の作品に出ているので、きっと見覚えがおありでしょう。

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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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