フランスが死刑廃止に至るまで

映画を見てこれほど衝撃を受けたのは・・・もしかしたら初めてかもしれない。

フランスはヨーロッパで最後に死刑廃止になった国。1981年のことだ。
大多数の世論に逆らって、死刑廃止を叫び続けたのは、当時弁護士だったロベール・バダンテール(写真は80歳の現在)。
彼の10年間の戦いを描いたテレビ映画『l'Abolition 廃止』の前編が火曜日の夜に放映になった。

badinter


1972年、刑務所で、囚人が看守と看護婦を人質にとり、ナイフで惨殺するという事件が起こった。
被告の2人のうち1人は殺しを認め、もう一人のボンタンは無実を訴え続ける。
ボンタンの弁護にあたったバダンテールは、彼が手を下していないと確信し「殺していない人を殺してはいけない」と精魂をつくして弁護するが、判決は「2人とも死刑」と下る。
上告も却下され、最後の望みは大統領(当時、ポンピドー)の恩赦。
しかし恩赦も却下され、ボンタンは処刑される。

終わったとき、シーンと(若干4人だけど)してしまうほど、深い衝撃。
法の名の下に人を裁いて、殺すという行為を、淡々と映像で見せられると、予想以上にショッキングなのだ。

当時、フランス国民が死刑大賛成だったことにも驚いた。今では日本やアメリカの死刑制度を非難するフランスが・・・。バダンテールは国民の敵扱いだ。政府も世論に逆らいたくないので消極的、文字通り、孤立無援の戦いになる。

2月3日火曜日、夜8時半の後編では、「本当に殺した人」をバダンテールが弁護し、死刑廃止にこぎつけるまでが描かれる。殺人者であっても、人間が人間を殺してはいけない・・・

abolition

バダンテールを演じるのはシャルル・ベーリング。前から好きな俳優だけど、抑えた表現から、うちに秘めた強い信念が伝わってくる。弁護が熱を帯びてくるにつれて、かえって青ざめていくのも凄みがあった。

バダンテールに助言を与える先輩弁護士を演じるのはジェラール・ドパルデュー。あの巨体から出る、太く低い声は文字通り重みがある。

バダンテールは死刑廃止までの戦いを2冊の本に著しているけど、映画化されるのはずっと拒否していたそうだ。
これが原作となった『l'Abolition』

livre

80歳になった今、「あまり語られない歴史の一幕を若い人にも知って欲しい」とやっと映画化が実現したそうだ。NHKとか買わないかしら・・・

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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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