終身刑か死刑か・・・

前編ですごい衝撃を受けたテレビ映画『Abolition/廃止』の後編が放映された。

子供を誘拐して殺してしまった犯人をバダンテールが弁護し、当然死刑のところを終身刑にこぎつける。“死刑を免れさせる弁護士”として一躍有名になったバダンテールのもとに、殺人犯の依頼が次々と舞い込む。
1980年代初頭のこと。ちょうど大統領選が近づいていて、社会党のミッテランと右派のシラクとジスカール=デスタンが争っていた。
ミッテランはTVの政見放送で「死刑反対」の立場を表明する。世論に逆らいたくない政治家が多かった中で、勇気ある発言。バダンテールは、ミッテランが大統領になったら死刑廃止に持ち込める、と期待する・・・

前編より盛り上がりにかけたのは、バダンテールの手がけたいくつもの裁判が次々と紹介され、歴史のおさらいみたいになっているせい?・・・
前編では、一人の殺人者に密着して、諦めや希望の間を行ったり来たりし、文字通り絞首台までの道のりを共にする。観客までが死と間近で向き合い、映像に鳥肌が立つような臨場感があった。

後編では「死刑は犯罪の抑止にならない」という事実が印象的だった。それがバダンテールの「死刑より終身刑を」の論点になっている。

フランスの裁判制度を自分がよく知らなかったことにも気づいた(長く住んでて、ダメじゃないですか・・・)
裁判官3人と無作為に選ばれた9人の国民の12人による参審制。8人が有罪と認めたら、有罪判決になる。
バダンテールが、一般市民の参審員たちに 「あなたたちが投票すれば、この男をギロチンにかけることができる。あなたたちはこの男を殺すことができるんだ!」と叫ぶシーンも迫力ものであった。
ヴィデオはこちら。

当事のバダンテール
badinterNB

を演じるシャルル・ベーリング。似ているかも・・・
CBerling

「アレ、何に使ったの?」「何にも・・・」
フランスは最後までギロチンが使われていた。

dessin

ところで、またサルコジ大統領の発案で、1月から国営放送でCMが禁止になっている。
そのおかげで今まで20時45分に始まっていた映画や連続ドラマが、10分繰り上がって35分に始まることになった。
これにはメディア側だけではなく、視聴者からも随分反対があったけど、押し切られたもの。
視聴者たちにとってこの10分は大きいのだ。なぜか?
平均的フランス人の夕食時間は夜8時。だから夜のニュースも8時だ。
平均的家庭が、ご飯を30分で食べ、父親がお皿を片付けている間に、母は子供を寝かしつけ、8時45分にお気に入りの番組の前に滑り込みセーフ、というのが定番だった。
10分減ると、この完璧オーガナイズがガラガラと崩れ、お皿は片付いていない、子供は寝てくれない、途中のCMもないから、お茶も入れられない、トイレにも立てない、という悲惨なことになる。

8時台のテレビはあまり観ないので、気づかなかったけど、今回体験して、サルコジを恨んだ。
8時頃うちに着く私は、早回しにしたフィルムみたいに急いでご飯を作らなければならなかった。
一日も早くCMが蘇ることを期待する。

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コメント
はじめまして。
このブログ記事を読んで、ぜひこのテレビ映画を観てみたいと思いました。

「死刑」存置か廃止かは、第3者的な立場であるワタシにとって答えが出せないテーマなのです。

漠然と理想だけで答えを出すなら「廃止」派です。
でも、これはあくまで「知識」を得ない無責任な答えだなと感じます。

森達也の「死刑」を読みました。これは奥行のある本です。完読することによって、自分の意思がはっきりすると思ってたのですが、間違いでした。被害者家族の立場(感情)を知ることによって、さらに迷宮入りしてしまいました。

自分なりな答えが出せないなら、まずは「知る」勉強をすることだなと感じています。

このテレビ映画がフランス国外から世界に向けてリリースされる日を期待してます。

たかこさんのブログ、とても素敵です。
これからも度々訪問したいと思います。

更新楽しみにしています。
Re: はじめまして。
> このブログ記事を読んで、ぜひこのテレビ映画を観てみたいと思いました。
>
> 「死刑」存置か廃止かは、第3者的な立場であるワタシにとって答えが出せないテーマなのです。
>
> 漠然と理想だけで答えを出すなら「廃止」派です。
> でも、これはあくまで「知識」を得ない無責任な答えだなと感じます。
>
> 森達也の「死刑」を読みました。これは奥行のある本です。完読することによって、自分の意思がはっきりすると思ってたのですが、間違いでした。被害者家族の立場(感情)を知ることによって、さらに迷宮入りしてしまいました。
>
> 自分なりな答えが出せないなら、まずは「知る」勉強をすることだなと感じています。
>
> このテレビ映画がフランス国外から世界に向けてリリースされる日を期待してます。
>
> たかこさんのブログ、とても素敵です。
> これからも度々訪問したいと思います。
>
> 更新楽しみにしています。

ご意見ありがとうございます。
読んでいただいて嬉しいです。

おっしゃるとおり、「知る」ことから始める問題だと思いました。私にとって、もっと「知りたい」きっかけになり、「死刑廃止」は、言葉でいうより深い問題だと気づかされたテレビ映画でした。


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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