2時間だけ日本

2回満員で、3度目の正直でやっと『歩いても 歩いても』を観れた。フランスでは英語タイトルで『Still Walking』

冒頭から、台所の音、たわいない母娘の会話、野菜を切ったり、枝豆を茹でる手つきにすごい懐かしさを感じた。小さかった頃、料理上手の伯母が、着物に白い割烹着をつけて台所でシャキシャキ料理するのを見るのが好きだった。うちのお風呂場のタイルも壊れてたっけ。
家から外に出て、住宅街の風景や暑そうな日差しやセミの声・・・そういう夏の一日の空気感が息苦しいように伝わってきた。

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それからむしょうにお腹が空いてきた。ミョウガと枝豆の入ったご飯、とうもろこしと海老のかき揚げ!かき揚げなんて自分で作るの難しいだろうな。
おばあちゃん(樹木希林)の、可笑しく時々棘のあるおしゃべりは、冗漫なようでとても味わいがある。フランス語字幕はその味わいを伝えられないので残念。原田芳雄は、「いつになったら出てくるんだろう?」と思っていたら、さっきから出ているおじいちゃんがそうだった!失礼しました。本物はあんな白髪じゃないんでしょう?

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小津の映画に似ているような気がしたし、フランス映画にもこういう雰囲気のがある。
例えば、昨年の作品で『夏時間』。
母親が急に亡くなって、家や遺産の分配で子供たちの家族が集まる。一緒に食べたり飲んだりして思い出を語り合ったり、口論になったり、食事の合間には、主のいなくなった家の中を徘徊してノスタルジックになる。その周りを子供たちが駆け回っている・・・そう、よく似ている。この映画も、子供たちの会話の端々に表れる感情や、いわゆる言外の余情に共感し、家族って何だろう、と思わせた。

日本の、家族の家にいるような気分になった2時間だった。


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コメント
Re: 初めまして。
> 日本のタイトルは、『歩いても 歩いても』だと思います。ご確認ください。
> 気になって仕方がなくなったので、一言コメントさせて頂きます。
> 私もこの映画、観ました。
> 姑のちくりと嫁いじめ、母として子供をどこまでも愛す故の強かさ!
> 観ていて頷き通しで、それでいて緊張しました。
> 娘の立場で観たり、母として観たり・・・いろいろな感情を共有できます。
> とても心地よい映画でした☆
> 日本人の友人に薦めたら・・・あんな散らかった汚いところをフランス人に観てほしくない/
> といった感想で、がっくりしていました。こちらのブログで取り上げているのを拝見して、
> ほっとし、嬉しく思っているところです。

桃子さま
ご指摘ありがとうございます。「ブルーライト横浜」から取っているんだから「歩いても 歩いても」ですよね。すぐに訂正します。あの家族の人間関係や、ごちゃごちゃしているけど美味しそうなものがたくさん出てきそうな台所は、フランス人の共感をよぶ、つまり共通する世界だと思いますよ。



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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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