踊りに行ってはだめよ

子供2人連れて離婚し仕事もやめ(私のことではない、映画の話)、疲れた心と身体を休めにブルターニュの両親の家にやってきたレナ(キアラ・マストロヤンニ)。
しかし親だけでなく、妹や弟が、必ずしも“自分の側”ではないと感じる。
優しさの中にチクリチクリと棘を感じて、癒されるどころか神経を逆撫でされてしまう。
間もなく母親が、別れた夫をよんでいることを知る。
「何で断りもなくそんなことするのよ!」と逆上する彼女に母親は悠然と答えるのだ。
「私のうちなんだもの。呼びたい人を呼んでいいでしょう」
レナじゃなくたって、誰でもキレる。「パリに帰る!」と飛び出すが、切りたくても切れないのが家族というもの。Uターンして戻ってきてしまう。

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クリストフ・オノレの最新作は、「Non ma fille, tu n’iras pas danser」(娘よ、踊りに行ってはダメよ)という変なタイトル。でも観たあと考えると、独断的な母親を象徴しているようだ。

娘の幸せを願ってはいるらしいが、介入しすぎてレナは息が詰まりそうになる。どっちつかずで曖昧な父親、臨月に近い大きなお腹を抱えて、自分も別れることを考えている妹、自分が傷つかないよう距離を置いているように見える弟、不安定な母親に振り回されて戸惑う子供たち・・・リアルなキャラクターと、共感できる家族の複雑さが描かれていて、引き込まれる。

妹役、マリナ・フォイス(右)も上手い。
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クリストフ・オノレの最高作品という声もあるけど、キアラ・マストロヤンニがついに飛翔、これまでで最高、いう批評が多い。
カトリーヌ・ドヌーヴを母に、マルチェロ・マストロヤンニを父に持つ彼女は、親の重みがハンパではないせいか、今まであまりパッとしなかった。

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両親のどっちにもに似ていて綺麗なんだけど、キアラには両親の持つ、スクリーンでそこだけ輝くような存在感はない。地味目な印象。
この作品では、新しい一歩をなかなか踏み出せず閉じこもり、家族にきついことを言っては自己嫌悪になる心模様を微妙に表現している。


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


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