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誘拐されて人生が変わった・・・

1978年、アンパン・シュナイダー社という全世界に15万人の社員を抱える大企業の社長、アンパン男爵(Empainなのでアンパンと発音するしかない。ふざけているわけではありません)が誘拐されるという事件があった。
犯人は8000万フラン(約1200万ユーロ)の身代金を要求、アンパン男爵を監禁している証拠に、彼の指を一本送りつけてきた。
「お金を払わなければ、もっと送るぞ」

現在のアンパン男爵。
baron.jpg

『RAPT』は実際に起こった事件の映画化だ。
スタニスラス・グラフ(イヴォン・アタル)は大企業の社長で、大統領と海外視察旅行に行くほどの重要人物。16区の豪華な邸宅には美しい奥さんと2人の娘。
その朝もいつものように、運転手つきの車に乗って出かけたが、出て間もなく誘拐される。
誘拐犯はスタニスラスの指を切り落とし、身の代金要求の手紙を書かせ、暗くじめじめした地下室に放り込み、犬のような扱いをする。

rapt2.jpg

スラニスラスは、すぐ助け出してもらえると信じて、屈辱を耐え忍ぶ。自分は会社や国家にとって重要人物だ、家族にも愛されている、間もなくお金が支払われて自由の身になる・・・

しかし。1週間、2週間と時間が経っていく。
地下室の外では、予想外の展開になっていた:スタニスラスの本当の姿-ギャンブル好きで、一晩で巨額を失うこともある。女好きで、15年前から家族に内緒のアパルトマンを持っていて、次々に女を囲っていた・・・-など、がゴシップ雑誌で次々暴かれていったのだ。
信頼できる社長、家族思いの夫というイメージが崩れ、ギャンブルのお陰で、人が思うほどお金もなかった。

世間をあっと言わせた誘拐の話、ではなく、誘拐されたことで大きく人生が変わっていく様が描かれる。
今年観たフランス映画の中で一番、といってもいいほど私には面白かった。

実話を下敷きにしている信憑性もあるけど、どの俳優もいい。
所有していると信じていたものをひとつずつ失っていく社長のイヴォン・アタル、思っていたほど富裕ではなかったばかりか、コキュにされて面目丸つぶれのブルジョア女、奥さん役のアンヌ・コシニーもいい。

いつもすごくシンプルな(でも高価な)シャツやセーターに、ショーメ(だと思う)のジュエリー。
16区のブルジョアって実にこういうスタイルだ。

raptfemme4.jpg

RAPT3.jpg

2ヶ月幽閉された後、家に戻ってきたスタニスラスを、前と変わらず迎えるのは彼の愛犬だけなのだ。

『RAPT』
監督:ルカ・ベルヴォー
公開中

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コメント
はじめまして
パリ関連のサイトを探していて
たまたまこのブログへたどり着きました。

とても面白そうな映画ですね。
こういう人生を一変させてしまうストーリーは
引き込まれます。
16区の住人の人間模様というのも興味ありますね。
今後も寄らせていただきます。
Re: はじめまして
権力、地位、富、愛情・・・の儚さ脆さを見せつけられる話で、まさに引き込まれます。映画を観たあとすぐにモデルになったアンパン男爵について調べたほど。日本で公開されて欲しい作品です。
どうぞまたお寄りください。
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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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