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私の子供たちの父親

『Le père de mes enfants』というのは、最近観た映画のタイトルだけど、日常耳にする表現だ。
「前夫」という代わりにこう呼んだり、結婚しないで子供を作って別れた場合は「私の子供の父親」と呼ぶことが多い。
 
さて映画のお話。ミア・ハンセン=ラヴという女優さんの監督2作目だ。

pere affiche


グレゴリーはすべてを所有しているように見える:愛する女性と3人の可愛い娘、情熱を傾ける仕事・・・彼は映画プロデューサーだ。監督やシナリオを探し、ロケに立会い、スポンサー探しやミーティングに走り回る。
映画作りは彼の“生きる理由”、天職なのだ。
そして週末は家族と過ごす田舎の家に車を走らせる。週末も彼の携帯電話は鳴り続ける。

精力的に仕事をし、家族も大切にする魅力的なミドル!に見えるけど、内情はそうではなかった:
映画の興行成績は芳しくなく、借金は雪だるま式に膨れ上がり、ロケ現場のギャラも払えない状態。社内では不安がつのり、経理の女性は「私たち、溺れかけているわ」と溜息をつく。

グレゴリーは社員を激励して、走り続けようとする。
しかし現実を突きつけられて、彼を支えていたものがプツンと切れる・・・

この映画は2005年に自殺した映画プロデュサー、アンベール・バスザンがモデルになっている。
と書くと、結末がわかっちゃうじゃない!と言われそうだけど、実在の人物が下敷きになっていることはサイトにも週刊誌の批評にも書いてあるので、私も観る前から知っていた。

彼が命を絶ってからの、残された家族が印象的なのだ。予想以上の借金に驚くも、彼の作品を後世に残そうと奔走する奥さん。父親の過去をもっとよく知ろうとする長女も、とても自然で、感情移入できる。

初めて見るグレゴリー役の俳優は、Louis-Do de Lencquesaingという発音不可能な名前。長女役は彼の実の娘。

pere de mes enfants2

残された家族は女4人。

pere de mes enfants3

グレゴリー役もすごく上手い。不安があると、それを見ないためにスーパーアクティヴになるタイプ。一見精力的に見えてポキッと折れそうな脆さ。虚無感に襲われたときの変貌・・・

そして初夏の光に溢れたパリの下町が、飾らない素顔で撮られている。

パリや映画が好きな人だけじゃなく、仕事と家族の意味とか重さについて考えさせてくれる作品だ。

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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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