病院の忙しい朝

麻酔室で最後に壁の時計を見たとき午後3時半。目が覚めたら8時近かった。
病室に運ばれる。左に点滴、右にはドレーン。麻酔の余韻でうとうとしていると12時に騒がしく夫が到着し、娘を連れて近くのホテルに引き上げる。
2時に起こされ点滴を取替える。5時に再び起こされる。
病院とは継続して眠れない場所らしい。

夜番の看護婦さんが6時過ぎに「痛みはどう?ボンヌ・ジュルネ!」と去っていくと、病院の朝が始まる。

hopital.jpg

7時に採血の看護婦さんが来る。この人をAとする。
研修生で、ボスらしき中年看護婦Bが一緒に来て「そんなとこに刺しちゃだめよ」とか「どっか間違ってない?」と、不安になる注意をする。実験台にしないでよ。
その後、看護婦さんCとDが血圧と体温を測りに来る。「痛みは0から10でいくつ?」と得意の質問。手術後の2-3日は驚くべきことにゼロだった。
病室に現れる人たちはヒエラルキーがややこしそうだ。看護婦さんだと思って質問すると「ちょっと看護婦に聞いてきます」というので、看護助手という立場の人だとわかる。

次に、食事担当Eが現れる。
「朝食は何がいいですか?」・・・文字通り訳すとこういう質問なんだけど、
「ヨーグルトと果物と、卵は・・・」なんて返事したら、殴られそうだ。カフェか、カフェオレか紅茶を選ぶだけ。それにバゲットの輪切りが3つ、小さいバターとジャムという簡素な朝食だ。
それでも、24時間何も食べていなかった朝は、コーヒーの一口が身体中に染み渡るような気がした。

「嫌いなもの、食べられないものは何?」と聞かれる。
わがままはいえないので「シャルキュトリー(豚肉加工品)」だけにしておく。

朝食が終わると「トワレット」の時間だ。トワレットは、身づくろいの意味で、トイレに行けというのではない。
起きられる人はバスルームでシャワーを使い、そうじゃない人は、前出のEがお湯の入ったたらいをもってきてくれ、自分で身体を拭く。最初の朝はそれもしんどく、やったふりをしていた。

トワレットが終わると、看護助手Fが来て、シーツを代えてくれる。この時点で、すでに6人の看護人に何かしらお世話になっているのだ。

8時半に回診がある。部長、執刀医、看護婦シェフから研修生、リハビリ担当までがゾロゾロと病室に入ってくる。まさに大名行列だ。行列も形式的なら、交わされる言葉も形式的、いずこも同じだ。
この大名行列がほぼ毎朝あり、2分くらいで次の病室へ移動していく。

回診が終わると、Gが入ってきて、部屋の掃除が始まる。テーブルからベッドの手すりから拭いて、床の掃除をしてくれる。みんな同じ質問をする。
「どこから来たの?」
「パリ」
「パリの中?それとも郊外?」
看護婦、看護人、麻酔医から執刀医まで同じ質問、パリの中か外かにこだわった。
その後やっと静かになる。

11時半に昼ごはんがやってくる。病院はどこでも前倒しだ。昼が一番しっかりした食事だけど、量は普通の半分くらいだ。
初日のお昼は、子牛のローストが一切れにインゲンのソテー、ソーセージのサラダ。豚肉加工品はパス、と言ったじゃない?!要するに食べなきゃいい、ということらしい。そんならなぜ質問するのよ!


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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