男たちが美しすぎる『シングルマン』

トム・フォードの最初の監督作品で、コリン・ファースが「今までで一番の名演技」と評判だった映画『A SINGLE MAN』。
封切りになったときはまだ脚が曲がらなくて2ヶ月後にやっと観にいけた。

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舞台は1962年のロサンジェルス。大学教授のジョージは、16年連れ添ったジムが事故で死んでから、抜け殻のようになって毎日を送っている。ジムの面影と、一緒に過ごした日々の思い出につきまとわれ、、生きる目的も未来への希望もなくしている。出会いのきっかけはあるのにその気になれない。

”ジェームス・ディーンより美しい”若者にもなびかず・・・

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夫に逃げられた美貌の女友達チャーリー(ジュリアン・ムーア)は、ジョージにモーションをかけるが、彼の心は動かない。

映画の中で一番リアルなのは(女として)この2人の絡みだ。2人とも、人生は終わった、と感じているが、チャーリーは、ジョージと新しい章を始められると希望を持っている。

しかしジョージは、デカダンに熟れた元人妻にも頑なに閉じたまま・・・

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愛しいジムの思い出で生きている。

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チャーリーが言う。「恋はバスみたいなもの。ひとつ逃がせば次が来る・・・」
でもジョージはそう思えない。

彼が不幸なのはわかるけど、その生活は人も羨むリッチな美しさ(大学教授って薄給じゃなかった?)。
カトリーヌ・メミのショールームのような木と茶の濃淡で統一された大きな家。クローゼットを開ければ真っ白なワイシャツが整然と並び(トム・フォードもいつも胸をはだけた白いシャツ!)、ブリティッシュなジャケットは、見るからにオーダーメイド。どっしりした木の家具やテーブルが並ぶキッチン、でも生活感は全くない。

女性たちも60年代のファッション(大好き!)でみんな綺麗なのに、ジョージの目には風景のようにしか映らない。
一方、男たちは美しすぎる。びしっとスーツ姿のジョージの、立ったときのズボンの落ち方や、その先によく磨かれて光る靴までセクシー。トム・フォードがディティールまでこだわったのがうかがえる。

コリン・ファースはこの作品で、2つの主演男優賞(ヴェニス国際映画祭、イギリスのBAFTA Awards)を取り、アカデミー賞でもノミネートされているけど、上手いのかな。恐ろしくスタイリッシュではある。全体的に美しいだけで、真実味が全くない。

結局、トム・フォードは映画という形を借りて、自分の美意識のデフィレをやったのではないかという気がする。
観て後悔はしなかったけど。

パリはLe Nouveau Latina(4区) Les Trois Luxembourg(6区)など。日本ではこの秋公開。

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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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