イギリス人作家、ジェイムスが“美術におけるオリジナルと贋作の緊密な関係”について本を著し、その出版に際してフィレンチェで講演する。講演のあと、ギャラリーを経営するフランス女性(ジュリエット・ビノシュ)と知り合う。
「21時の電車で発つまで、どこかに行ってみたい」とジェイムスがいい、2人は車で近くの町までドライブに出かける。
「有名作家が同じ車に乗っているなんて!」とはしゃぐ彼女。出会いの予感・・・

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ところが、目的地についてしばらくするうち、この2人がずっと前から結婚していて息子までいるカップルと判明する。
妻と息子を放っぽり出して、あちこち旅をするジェイムス。
やっと帰ってきた日は15回目の結婚記念日だというのに、イビキをかいて寝てしまった。

“ばったり出会った男と女がふらりとドライブ”は、倦怠期を打破するゲームだったのだ。
2人の口論から、エゴイストな夫と、まだ愛情があって2人の間を再建しようとする妻の姿が見えてくる。

現実とフィクションが、ジェイムスの著作のテーマ、オリジナルと贋作に重なる。

ジェイムスを演じるのはウィリアム・シメルという知らない俳優。渋いというか疲れた感じがよく似合う。

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と書くと、ちょっと面白そうかもしれないけど、実はすごく退屈。
ドライブしているシーンも、せめてイタリア田舎の美しい景色でも見せてくれればいいのに、カメラは2人の顔を行き来するばかり。幸いチューインガムを持っていた私はそれを噛みながら睡魔と闘い、となりの夫はイビキをかいて本格的に寝てしまった。
後半、退屈さは少し減るものの、男の自分勝手な言い分に、こんなヤツに執着するのやめなさいよ!と腹が立ってきた。

イラン人監督、Abbas Kiarostami(アバス・キアロスタミ)の作品『COPIE CONFORME』(原作通りのコピー)。
日曜日のカンヌ映画祭閉幕セレモニーで、ジュリエット・ビノシュがこの作品で最優秀主演女優賞をとり、壇上でどんなに監督との仕事が素晴らしかったか強調したので、思わず観てしまった。

でも観ている間の退屈さとは裏腹に、不思議と余韻の残る映画ではあった。
長年、夫婦をやっていることの難しさ、激しさと優しさのあるビノッシュ(主演女優賞はうなずける)、そしてどっちに転ぶかわからぬままプツンと終わる最後・・・のせい?
昨日、日本の雑誌を読んでいたら「今度の週末は妻をデートに誘ってみよう」という文章があった。実は車の記事広告なんだけど、日常と切り離したフィクションの遊びも必要なのかもね。


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コメント
はじめまして
長谷川さん、はじめまして。ブログ毎日見ていますv-238
私も将来、パリに住むつもりです。

パリの生活は楽しいですか?
Re: えりかさん、はじめまして
読んでくださってありがとうございます。
パリの生活は楽しいか?というご質問。
どこに住んでいても、嫌な目(ヤツ)にあったり、心温まることがあったりは同じです。だから「相性」の問題だと思います。自分のままでいられる、人間関係がラク、など私にとっては相性のいい場所だと言えます。

えりかさんはどうしてパリに住もうという気になられたんですか?
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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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