パリのバスで出会う変な人たち

松葉杖で歩いていると、なぜか鼻の頭がかゆくなる。立ち止まって、松葉杖をどこかに立てかけて搔かなければならない。
鏡で見ると、虫に刺された気配もないので、なぜだろう?
“松葉杖と鼻の頭の関係”について考えるうち、もしかして両手が塞がっているせいではないか?と思い当たった。
トイレがないと聞くと急にトイレに行きたくなる、あの心理だ。
リハビリの先生に話したら、
「そういえば、両手でマッサージしているとよく顔を搔きたくなる」そうだ。
私の推理正しいかも。
1週間前から松葉杖が1本になった(進歩!)。そしたら、鼻のかゆいのがウソのようになくなった。やっぱり!

バスに乗った。松葉杖1本はインパクトがないらしくて、誰も席を譲ってくれない。
バスはメトロよりご老人の数が多く、1人、2人、3人・・・杖を持っている人が3人もいるので、珍しくないんだ。
2本持ってくるんだった・・・と思いながら、立っていると「触らないでよ!」と叫ぶ声。
みんな一斉にそっちのほうを見ると、中年(かなり)過ぎの女性が、隣の若い黒人の青年に文句を言っている。
「オレ?オレがアンタに触った?!」
その青年は、こんなにびっくりしたことはないという声で言い返す。
「触るわけないじゃん!」
その女性は強面で色気なんかない、すなわち誰も触ろうと思わないタイプなので、乗客からクスクス笑いが漏れる。私なんか真っ先に吹き出した。
形勢不利と察した女性は、
「触ったって言ってるんじゃないの。あなたが場所を取りすぎてるって言ってるのよ」
「オレ、大柄だし、アンタだって細くないから、しょうがないじゃん。それに、ほら、境界線はココ、オレこの線、出てないだろ」
言いだしっぺの女性は結局、形勢を立て直すことができなかった。

帰りのバスで、シルバーシートにいたおじいさんが「お座りになりますか?」と立とうとした。
そしたら向かいに座っていた奥さんが、
「立つことないわよ!この女(私のこと)のほうがずっと元気そうじゃない」。
おじいさんはそれを無視して立ち上がったので、有難く座らせてもらう。奥さんは不満そうに
「立つことなかったのに・・・あそこの席、空いてないの?」とブツブツ言っていたが(私は甚だ居心地が悪い)、ついに、
「私のほうがずっと若いんだから、あなた、座りなさい。私はあなたの膝の上に乗るわ」と言い出した。実は、彼女のほうが10歳は年上、90歳くらいに見えた。
居たたまれなくなった私が、「すぐ降りますから」と席を立つと、おじいさんはほっとしたように座りなおした。

彼女は、夫が席を譲ったのが我慢できなかったのか、それとも自分のほうがずっと若いことを宣伝したかったのか・・・?
性格の悪さが年齢とともに増強した、こういうイジワルばあさんには時々お目にかかる。

バスに一人で乗れるのも私にとっては画期的だが、こういうエピソードに出会うと、外に出れるようになってよかった、と思うのだ。


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コメント
1コメント遅れですみません
お誕生日おめでとうございますde-266

今年もたかこさんにとっていい年になりますようにe-343
どうもありがとう
えりかさん、

いくつになっても(!)誕生日は好きです。どうもありがとう!
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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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