
会計士のアレックスは、ある晩家に帰る途中、警官4人に囲まれて身体検査をされている男性に気づき、足を止める。その男性がどうなるのかと眺めていると、警官の1人に「見物していないで、うちへ帰れ」といわれる。警官の威圧的な態度に反発を覚えて、アレックスは言うことをきかない。すると、警官は取り調べていた男性でなく、アレックスをパトカーに押し込んで警察に連行してしまう。大した理由もなく寒い留置所で一晩過ごした翌朝、「もう帰っていい」と言われたが、「自分が拘置されたわけがわからない。警察署長に会うまで帰らない」と座り込みを決めるアレックス。訳のわからないヤツだ、と手錠をはめられ、車で連れて行かれたのは病院の精神科だ。妻のベアトリスが駆けつけると、夫は「不安定で動揺した状態なので」、精神安定剤を打たれて眠っていた・・・
『Tres bien, merci』(元気です、ありがとう)は、些細なきっかけから抜き差しならない状況に巻き込まれてしまうサラリーマンの話。反抗精神が旺盛なだけで、ごく普通のアレックスが、精神病院で薬を飲まされるうちに、段々おかしくなってくるところなどリアルで怖い。平凡な主人公が予期せぬ歯車に巻き込まれてどんどん堕ちていく様を描いた、奥田英朗の『邪魔』を思い出す。
地味な会計士はジルベール・メルキ、タクシー運転手をしながら淡々と夫を助けるベアトリスは、映画登場2年ぶりのサンドリン・キベルランが好演で、お薦めの作品。ただし結末だけがちょっと疑問・・・
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