違法滞在・強制送還・サルコジ・・・・

2067年。60歳くらいの女性が思い出を語るところから映画は始まる。
「あれはたしか2009年のこと。私は小学生で、当時は同じ年齢の子供を集めた30人くらいのクラスで勉強していたの・・・アラ、当時の大統領は誰だったかしら?」

時は2009年に戻り、ここはパリ18区。
ブレーズ、ミレナ、クラウディオ、アリ、ユーセフはCM2(小学校の最終学年)の仲良し5人組、これにブレーズの妹アリスが加わって、いつも一緒に行動している。ある日、ユーセフの両親が不法滞在であることがバレて、一家は強制送還されてしまう。
サルコジの「不法滞在者27000人を年内に送還」というお達しで、バシバシ摘発が行われているのだ。
ミレナはチェチェン人で母親はやはり不法滞在者、ブレーズたちはミレナを摘発の手から護ることにする。
「今から僕たちとずっと一緒にいること。君は僕の“妹”だ」とブレーズ、実はミレナに恋心を抱いている。

右からブレーズ、ミレナ、小さいアリスがすごく可愛くて利発。

bande.jpg

ブレーズとアリスの母親(ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ)は、ミレナを自分のうちに一時引き取ることにする。
母親の了解を得て、バカンスもブレーズ一家と一緒に過ごすミレナ。
自然の中を駆け回り、川で泳ぎ、寝る前にとりとめもなくおしゃべりする・・・初めての体験する“夏休み”。
ミレナは幸せだ。「あたしだけ幸せで、お母さんに悪い」と思うくらい。
でもパリに戻ると、不法滞在者摘発はさらに強化されていて、子供たちは“地下に潜る”ことを決める・・・

ロマン・グーピルの新作『Les mains en l’air』(手を上げろ)はこんな物語。

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政治的メッセージがある作品なのに、子供たちの視点で描かれているのでお伽噺のようだ。両親の離婚をテーマにした『ユキとニナ』も子供の目で語られていてお伽噺っぽかった。
こっちは政治的お伽噺・・・でも、ストレートな批判はなく、それだけに、冒頭の女性(60年後のミレナ)のセリフ「大統領は誰だったかしら?」が示唆的だ。そして、母親役が大統領の義姉(すなわちカーラ・ブルーニのお姉さん)という点だ。偶然か、意図的なのか・・・
子供たちが圧倒的にいい。一途で逞しく、可愛く、悪賢い。
と同時に、うちの娘も親の見ていないところで何をやっていることやら・・・とため息が出る。

彼らが篭城している地下室に、ネズミが現れる。うちに出る小さいsourisの5倍はありそうな本格的ratだ。その巨大ネズミが眠っているミレナの頭の上を歩く。目を覚まして金切り声を上げると思いきや、ミレナはにっこり笑って横に寝ているブレーズを起こしてネズミさんを撫ぜ撫ぜしたりするのだ。子供はエライ。

ヴァレリア・ブルーニ=テデスキはあまり好きな女優ではなかったけど、あまり考えず母性本能で動くこの母親役は良かった。
valeria2.jpeg


パリの学校にも移民は多い。子供たちは、違う文化や風習や宗教があることを肌で感じ、それを尊重したり批判することを覚えていくのだ。

『Les mains en l'air』
ロマン・グーピル監督。公開中。

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コメント
やっぱり
最近、フランスも移民問題が多いそうですが、この映画はきっと物事が大きくなる前に私たちに警告しているのでしょうね。
国の文化を守ることも大切ですが、移民の人たちを移民と言うだけで非難するのは良くないと思います...。
こんばんは。ここで映画の紹介をされて 日本では未公開というのがあって・・・。悲しいかな、こういう映画こそ 後悔して欲しいです。
フランス映画 侮れないです。大好きです。
フランスの俳優さん達 いい味出してますね。
足のリハビリ 順調に行ってますか?無理しないでくださいね!。
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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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