盗聴器の録音から、現労働相で、もと予算相、ずっと政党UMPの経理担当でもあるエリック・ヴァルトの名前が出てきたことは前回書いた。
それ以来、この事件は「大富豪の母リリアン・ベタンクールと娘の遺産争い」から「大富豪リリアン・ベタンクールと政治家との癒着」となり、娘から告訴されていた愛人バニエ氏はすっかり霞んでしまった(さぞホクホクしていることだろう)。
エリック・ヴォルトは「咎められるようなことは何もしていない」とシラを切っていたが、リリアン・ベタンクールの会計係の女性が、
「誰も自分のやったことの責任を取ろうとせず、本当のことを言わないのにうんざりだ。実際何が起こったのかを言うべきだ」
としゃべりだしたのだ。
クレール・Tというこの女性は、ベタンクールの財産管理会社CLYMENE(クリメーヌ)で1995年から2008年まで会計係を勤め、現金の引き出しを一々手帳に書きとめていた。
彼女は、ベタンクールのBNP銀行口座から毎週5万ユーロ(約600万円)引き出す権限を得ていて、その現金をアンドレ・ベタンクール(リリアンの夫で2007年に死去)に手渡していた。
お金の一部はお医者さん、美容サロン、使用人に当てられ、その他は政治家のポケットに入っていた。
「アンドレは右派にしょっちゅうお金を渡していたし、それを隠さなかった。ベタンクール家には、右派の政治家が入り浸っていた」

リリアンヌと在りし日のアンドレ。病気で衰えてはいるもののエレガントな紳士だ。

liliane-et-andre-bettencourt.jpeg

アンドレが病床につくと、現金管理はCLYMENEのボス、パトリス・ドゥ・メストルに任される。
2007年3月、ドゥ・メストルがクレール・Tに、15万ユーロ下ろしてくるように言いつける。
そんな額を下ろす権限は与えられていないとクレールが断ると、彼は、銀行が拒むはずはないと怒り出した。
「一体何に使うんですか」と彼女が尋ねると、
「サルコジの選挙戦を援助するためなんだ。5万ユーロでは足りない、選挙戦の財政を仕切っているエリック・ヴォルトに15万ユーロ渡さなければならないんだ」
出た!
ちなみに政治献金は7500ユーロまでが認められている。
(続く)


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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