手品師と少女、イリュージョンな関係

手からワイングラスが現れる、シルクハットからウサギが飛び出す・・・今夜も同じ手品を繰り返すイリュージオニスト(手品師)。パラパラとまばらな拍手が起こる。

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1950年代終わり、パリのミュージックホールには“革命”が起きていた。
長髪のロックンロールのグループに女の子が黄色い声を上げ、アクロバットや腹話術、手品などの伝統的出し物は、次第に過去のものになっていく。
仕事にあぶれ手品師はウサギを連れてロンドンに赴き、小さな劇場やガーデンパーティに出演するが、ウケはここでもぱっとしない。ところが仕事を探してたどり着いたスコットランドの海辺のパブで久々の拍手喝采を浴びる。
パブで給仕や掃除をしている少女も彼の手品に目を輝かせる。少しまとまった収入を得た手品師は、少女に赤い靴を買ってあげる。
船でスコットランドを後にした手品師、気がつくと少女が一緒についてきていた。
破れた靴を赤い靴に変えてくれた、少女にとって彼は本物の手品師なのだ。

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町から町へ、ドサ周りを続ける手品師。それまで孤独だった彼の人生を少女の存在が大きく変えた。
彼の帰りを待っている人、待っている食事がある生活。
しかしそれも長くは続かない。

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少女はショーウインドウのドレスに目を輝かせ、ハイヒールに憧れるようになる。少女は若い娘になっていく・・・

シルヴァン・ショーメのアニメ『ILLUNIONNISTE』(手品師)。原作はジャック・タチだ。
まず絵が素晴らしい。1950年代のパリ、ロンドンの街並み、スコットランドの田舎、暗い海など、背景の描写が見とれるほど美しい。

宮崎さんもびっくり・・・?
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タチの映画は、主人公がわざとらしく可愛いぶっていて、好きになれなかったが、ショーメの手品師は表情や動作に嫌味がない。無声映画のように殆どセリフがなく、おじさんと少女の暖かい関係(小児愛っぽいところは全くない)が伝わってくる。
前作『Les Triplettes de Belleville』は、「フランスっぽくスタイリッシュな映像」と思ったくらいだけど、ショーメってすごく才能ある漫画家なんだ。
そういえば『Beaux Gosses(美青年)』も『ゲンズブール-英雄的な人生』も漫画家の監督作品だ。最近ではパスカル・ラバテの『Petits Ruisseaux』も好評だ。

『手品師』はすごくお奨め。ただし10歳以下の子供は連れていかないほうがいい。絶対退屈する。
メアリーとマックス』のように、恋人ではなく友達という型にもはめられない絆を描いた物語だ。

レトロなポスターも素敵。
まだ公開中です。
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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


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