
雪に閉じ込められた家にスキーで帰ってくる夫婦。仲良く食事をし、一緒に食器を洗い、片付ける。妻がフライパンを、当たり前のように冷蔵庫にしまうのを見て、しばし立ち尽くす夫。結婚して44年になるグラントとフィオナ。アルツアイマーに侵されたフィオナが二人の生活を変えていく。彼女は、専門の施設に入ることを決断するが、夫は気が進まない。入院の当日も、何とか思いとどまらせようとするが、フィオナの決心は固い。施設に順応するために面会禁止の1ヶ月という時間が、果てしなく長く感じるグラントだ。
「明日への記憶」では、アルツアイマーになった主人公、渡辺謙の動揺や焦りが描かれていたが、この映画は逆の視点、つまり樋口可南子の物語であった、と映画館を出て気がついた。連れ添った配偶者の記憶から消され、取り残された者がどう感じるかにスポットが当たっている。ところが、フィオナを演じるジュリー・クリスティの存在感がすごいのでつい彼女を追ってしまい、フィオナの感情があまり描かれていない、と一瞬感じてしまった。この難しいテーマを、抑えたトーンで扱った監督が、若干28歳の女性(サラ・ポリー)と聞いてびっくり。印象に残る映画。原題は「Away From Her」。
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