人々と神々と・・・サルコジ

1990年からアルジェリアのティベリヌ僧院で、村人たちを助け、地元の回教徒とも折り合って暮らしていた8人の僧侶、彼らが1996年に誘拐され殺されるまでを描いた、グザヴィエ・ボーヴォアの『Des hommes et des dieux/人々と神々』。
カンヌでグランプリを取り、9月はじめに公開になってから今日までに観客260万人突破という記録的ヒットになった。
「テーマが重そう」「眠りそう」と延ばし延ばしにしていた私も、やっぱり観といたほうがいいかと。

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映画は地元の人たちから頼られ慕われている僧侶たちの日常を淡々と描く:ボランティア医師として一日100人以上の患者を診たり、読み書きのできない村人の手紙や書類を代筆したり、村人と一緒に畑を耕したり、そして時間があれば祈ったり歌ったりしている。
ちょうどその頃、アルジェリアではイスラム主義の台頭、軍部クーデターと内紛が始まり、イスラム派によるテロ行為が相次いだ。アルジェリア政府は僧院を軍隊に護らせようと提案するが、僧侶たちのボス、クリスチャン(ランベール・ウィルソン、左)は拒否する。

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僧侶たちの中には、「私たちは殺されるためにここに来たのではない。本国に帰るべきだ」「むざむざと殺されたくはない」とビビる意見も。
そのうちイスラム派が薬を要求しに来たり、知人が惨殺されたりと、危険を目の当たりにするにつれて、みんな「今、去るべきではない」と感じ始める。
「私を待つものは誰もいない」「私たちの役目は終わっていない」と居残ることで全員一致する。

「残りたい人、手を上げて」
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それから間もない3月末の深夜に僧侶たちは誘拐される・・・

まず映画のテンポがすごく違う。ボランティアに明け暮れ、節制を極め(夕食は野菜スープとジャガイモのから揚げだけ)、集まっては祈る・・・の繰り返し。
『24-Twenty four』の秒刻みの展開を毎週欠かさず見ている私たちは早回ししたくなるが、ふと、これが本来の時間の流れだったのかも。
僧侶たちを演じる俳優の中で、お医者さんのリュック役、ミカエル・ロンスダルが圧倒的。フサフサの眉の下にいたずらっぽい目が光ると、笑っている場合ではないのに笑っちゃうし、一言のセリフでもすごい存在感だ。

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夫と息子と3人、映画館を出て「長すぎるけど・・・」「悪くない」「でもなぜこれほどのヒット?」
確かにこの映画、物が溢れた消費社会が忘れているもの-精神的拠りどころ、お金ではなく(ベタンクール夫人は友達に何億ユーロとプレゼントしたけど)他人にしてあげられること-を思い出させてくれる。
この映画が、アンチ・サルコジ、アンチ成金、アンチ・フーケツ(サルコジが大統領当選を祝って高級レストラン・フーケツを貸切り富豪ばかり招待した)と呼ばれる所以。
つまりこの映画、瓢箪からコマ的に、サルコジ支持率を落下させるのに一役買ったというわけですよ。ふふふ・・・

『Des hommes et des dieux』クザヴィエ・ボーヴォア監督
UGC系などでまだ公開中

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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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