極めて主観的な『セザールの夜』中継

オスカー賞の48時間前に発表になるセザール賞。

今年のプレジデント、ジョディ・フォスター。ロサンジェルスのリセ・フランセを出ていて、完璧なフランス語を話す。

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去年はジャック・オーディアールの『預言者』(Un Proph醇Qte)が賞を独占(9つ)、今年はグザビエ・ボーヴォア『人々と神々』(Des hommes et des dieux)が総なめか?と言われたが・・・

最優秀監督賞は『ゴースト・ライター』のロマン・ポランスキー。
イギリス首相の“自伝”を書いていたライターが水死体で見つかり、その後継者としてゴーストライター(イアン・マクレガー)が選ばれる。孤島にある首相のセカンドハウスに缶詰にされ執筆するうち、彼は、首相が大学時代にCIAと関係があったのではないかと疑い始める。ピアース・ブロスナン演じる首相は、明らかにトニー・ブレアがモデル。

「君、こうやるんだよ」撮影中のポランスキー
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『水の中のナイフ』『赤い航路』などポランスキーはある場所に閉じ込められた人々を描くのに長けているけど、この作品も、荒涼とした眺めの孤島の、広大な豪邸での息詰まる閉所感。
日本で公開されなかったのは意外で、すごく残念だ。
この作品が封切りになったとき、ポランスキー自身が刑務所にいた。さらに閉所のスペシャリストになりそうだ。

注目の『人々と神々』は最優秀作品賞。主演男優賞の有力候補であったランベール・ウィルソンの上をカメラは何度も行き来したけど、賞は『ゲンズブール:英雄的人生』のエリック・エルモスニーノ。無名だったこの俳優の名演技、みんな納得の受賞。

ぽってりした唇までゲインスブールに似ている。
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主演女優賞は『人々の名前』のサラ・フォレスティエ。右派の政治家を引っかけてはベッドに誘い、左派に改宗させようとする“政治的娼婦”の役柄。
カトリーヌ・ドヌーヴ(幸せの雨傘)、クリスティーヌ・スコット=トマス(彼女の名前はサラ)などベテランを抑えて受賞の24歳。
それまで知らなかった女優さんで・・・うーん、形容詞で説明するのが難しい。男友達を初めて自分のアパートに連れてくる場面で「買い物とセックス、どっち先にする?」みたいな台詞がすごく自然なキャラだ。

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ステージに上がったときも役柄のまんまで、
「全然予期してなかったんで何も準備してこなかった!“幸せを呼ぶ”パンティだけは履いてきたんだけど」
作品中の“政治的娼婦”と自分は何も共通点がないと言い、
「だってこの映画撮るとき、政治のことは何も知らなかったし、私、処女だったのよ」
と締めくくり、ニッコリ笑ってステージを降りていった。
司会のアントワーヌ・ド・コーヌも二の句が告げず、一瞬言葉を探してから、
「こういうのをスクープといいます」

スクープといえば、賞を渡す役で現れたナタリー・バイ。ひと目でわかるボトックス顔!しかも左右不対象で、しゃべり方もヘンというoverdose。いつもは“自然な”セミロングを不思議なボブスタイルにし、ジュエリーなしの黒いタキシードと全面的若返りを図っていた。
・・・と3時間テレビの前に釘付けのセザールの夜でした。


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コメント
たかこさん、こんばんは。

うちの旦那はいつもジョディ・フォスターがTVでフランス語を話しているのを見ると、「フランス人みたいだ」って言います。
リセ・フランセの効果って凄いですね。
彼女が特に知的であることもあるのでしょうけれど・・・

私もセザール見てました。
ポランスキー監督が、申し訳無さそうな遠慮がちな態度で、壇上で言うセリフもまったく考えていなかったように思えました。
それに、急に老けたような・・・
でもちゃんと奥さんには感謝の意を述べていましたね。
フランスの映画界はポランスキー監督を応援しているという雰囲気に見えました。

ゲンズブールの映画はスタイリッシュだと思いましたが、私にはちょっとだけ退屈でした。
ゲンズブール役も、伝記だから仕方ないけれど物真似にしか見えないですし、でもその物真似力を演技力と称されて賞をもらえて良かったな、と思います。
この映画で有名になってしまったら、観客にとってはもう「ゲンズブールにしか見えない」というハンディもあるかと思うので、それをどうやって乗り越えていくか・・・これから頑張ってほしいですね。

サラ・フォレスティエの受賞はサプライズでしたよね。
コメンテーターも言ってましたし。
個人的には、クリスティーヌ・スコット=トマスかと思いましたけれど・・・
(同じく候補に挙がっていたイザベル・カレも好きな女優さんです。)

彼女の「スクープ」な発言の後に受賞をしたエリック・エルモスニーノが、サラに対して「嘘ついちゃいけないよ」って言ってたのが笑えました。
真相はいかに?ですが。

ナタリー・バイのボトックス顔には気が付きませんでした。
やるなら少し時期をずらせばよかったのに・・・

今晩はアカデミーですが、思い切り夜中なので残念です。
録画して見ようと思います。
Re: タイトルなし
Mari様
面白いコメント、ありがとうございます!

私も主演女優はクリスティーヌ・スコット=トマスだと思っていました。
サラ・フォレスティエはジュルナル・ドゥ・ディマンシュのインタビューで、「あれは本当かって?私だって女優よ!でも幸運を呼ぶパンティのことは事実なの」と言っていますが、それでも真相はいかに?ですね。


CANALに2人が招かれたとき、例のスピーチ映像が流れて、「嘘はいけない」と言ったエリック・エルモスニーノに対して司会者が「そのように思った理由は?」と聞いたとき、サラは「嘘をつくのが仕事だし!」とすかさず言ってましたが、エリックは悠々と「彼女と仕事をしてわかったことですが・・・」と言った後、

「(全く知らないといっておきながら)政治に対する意識があったようですから」

と言ったのが「うまいな」と思いました。

エスプリの利く方ですね。

セザールもらっても浮かれた様子はないし、受賞後も奥さんとゆっくり過ごしたと言っているし、こういう飄々と振舞う俳優さんは久しぶりに見た気がします。

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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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