お奨めしないレストラン⑤

家族の誕生日には日本レストランに行くのがなぜか習慣。お寿司が多いんで、何か別のもの、てんぷら、懐石・・・と探していたら、モンパルナスのAu Comptoir Nipponという鉄板焼きレストランがネットで評判がいい。
名前がちょっと不安要素だが、restoaparisという、もう10年以上あるレストランガイドが、ガストロノミックなフュージョン料理で、鉄板焼きのパフォーマンスには眼を見張る、と絶賛している。
このサイトの編集部には確か日本人がいたはず、と信頼する気になった、のが間違いのモト・・・

レストランは黒と赤のインテリアで、すなわち中国人経営の日本レストランがよくやる“日本風”である。
鉄板焼きのグリルを囲む8人がけのテーブルが3つとカウンター席。スタッフはアジア系だが日本人はいない。
「シェフは日本人じゃないんですか?」と聞くと、「はい、そうですけど、今日はお休みで・・・」という返事。日曜日だもんね。

オードヴルには、フォアグラとシイタケの春巻きとかBœuf style Koké mariné sauce ponzu(コケ牛のマリネ、ポン酢ソース)、これは神戸牛と言いたかったんだと察する。確かにガストロノミック。私たちはサーモンのタルタル、サーモンロール(薄切りのサーモンにアヴォカドとご飯が巻いてある)など無難な選択を。

鉄板焼きは、サーロイン、海の幸(サーモン、帆立貝、海老)、鶏などから選ぶ。お客には黒いエプロンが配られ、腰にナイフをぶら下げた北アフリカ系のシェフが現れた。
comptoir-nippon-paris.jpg

豆腐、薄い春巻き皮に包まれたチーズ、魚介類、野菜が鉄板の上に並ぶ。豆腐をすばやく8等分し、バターの塊をジュッと溶かし、その上にかけていく手さばき。豆腐の順序を入れ替えるなど意味のない動きもあるが、練習の成果が伺える。
しかしここで驚いてはいけない。焼けた豆腐をそれぞれのお皿に向かって投げるのだ。着地成功率70%。私のは膝の上に飛んできた。
ほうれん草は8人分でほんの一握り。それにピーナッツの粉をふんだんにかける。さすがにほうれん草は投げてよこさなかった。

comptoir-nippon-4.jpg

息子が心配し始めたのは量だ。鉄板を囲んで8人のお客、サーモンの切り身は小さいし、野菜はマッシュルーム1個、玉ねぎの輪切り一個、ズッキーニ小1本を8人で分けるようだ。
“豆腐投げ”に次ぐパフォーマンスはフランベ。魚介類や肉に、何のアルコールだか知らないけど振りかけると、即、電気が消え、暗闇に炎が浮かび上がり「おお!」
アルコールを振りかけつつ、電気を消すのもシェフの役目でなかなか忙しい。

材料は新鮮で、味付けはアジアのフュージョンだが悪くない。甘辛スパイシー。サーロインや鶏は、焼く前に一口大どころかサイコロ切りにしてしまう。正面に座っていた肉好き風のフランス人の顔色が変わった。
量は日本の半分くらいで、まだお腹が空いている息子は、デザートにフルーツ入りクレープを注文した。するとさっき華々しく退場したシェフがまた現れ、普通の4分の1くらいのミニミニクレープを鉄板に置きアルコールを振りかける。フルーツはただ切っただけ。ものものしく差し出されたクレープは、あきれる“味のなさ”であった。

お値段はオードヴル+鉄板焼きで一人平均40ユーロ。パフォーマンス代がかなりを占める感じ。
レストランを出つつ、「“日本人シェフ”ってずっと休みだろうね」「そう、永久に現れない」と意見が一致した。
Au Comptoir Nippon
3 avenue du Maine 75015 Paris
は、かくしてブラックリストに加えられた。

にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ
↑ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです
スポンサーサイト
コメント
こんにちは

笑ってしまいました。この店行きません!
某無料雑誌に日本語で広告をだしている店に行くとデコレーションは日本風だが
中国の雰囲気。でも寿司を握っているシェフの顔が日本人に見えなくもない。それを信じて注文
しゃりの量に感激している子供でしたが、
「ガリ」をシェフに追加で頼むと
「???」で100%オールスター中国人だと確信しました
そのから急に食欲が失せた私でした。


コメントの投稿
プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

カレンダー
08 | 2017/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
最近の記事
カテゴリー
おすすめ書籍
RSSフィード
おすすめコスメ
フランスに行くなら
プロヴァンスの田舎町をまわる1日
アーカイブ