田舎の24時間

日曜日の午後から一日、シャンパーニュ地方の従兄弟夫妻に会いに行く。誰もいない田舎の駅に降り立つと、見渡す限り収穫の終わったブドウ畑が広がる。
男達は週末、狩にでかけている。狩猟の期間は県ごとに定められていて、今年は9月25日朝~2月29日まで。お昼ごはんを入れた籠を持ち、銃を担いで朝から出かけていき、日が暮れると獲物を持って帰ってくる。電車に2時間乗っただけで、違う時代に紛れ込んだかのようだ。
従兄弟のうちには親戚や友達が暇そうに集まっていて、私が着くと
「何飲む?シャンパン?」
まだ4時じゃない、今から飲んだら大変なことになる。
そう、ここではシャンパンが自家製だから皆さん水のように飲む。羨ましいような恐ろしいような・・・

5時過ぎて日が暮れると従兄弟のピエールが騒々しく帰ってきた。
「ナンダ、コーヒーなんか飲んでるのか、早く酒瓶持って来い!」有無を言わせずシャンパンが開く。
そして狩の話。シーズン中、イノシシ、鹿は何頭、雉は何羽と量が制限されていて、獲物は誰が撃ちとめても狩猟グループで等分に分ける。鹿で200~250kgというから、30人のグループで分けても一人頭7-8kg。勢い、このうちに来るとジビエが多い。

鹿の角が木でできているとは知らなかった。木に紛れて外敵から身を守るためなのね・・・自然はよくできている。
それなのに撃ち殺して!
cerfs.jpg

その晩は、森で取ったキノコのソテー(Pied Bleu/青い足というキノコ、美味しい)、イノシシのウィスキー煮(最近のイノシシは臭みがないとか、確かになかった)、庭の菜園のほうれん草。デザートは庭の桃のコンポート(砂糖を全然入れてないのにすごく甘い)、とすべて自給自足。
彼らの食糧貯蔵庫には自家製ジャム、自家製トマトソース、庭のインゲン、トマト、ブドウ・・・などが殺菌消毒した瓶詰めになっている。冷凍庫にはイノシシの足やウサギ・・・1年以上生き延びられそうだ。
食糧難がきたらここに駆けつけようと密かに決めている。

翌日はキノコ狩りに一緒に行った。棘のある枝を押し分けて森に入り、落ち葉の間に隠れているキノコを探す。
「ほんとに食べられるの?毒入りとか笑い茸じゃないでしょうね」
「何も知らん都会っ子が何を言う!」

120kgのピエールの後姿・・・
JP_430.jpg

ところでキノコ狩りのとき必ず籠を持っていくのは、網目から胞子が落ちてまた生育するためだそう。“キノコ狩りファッション”ではなかった。
ファッションといえば、彼らのスタイルは洗いざらしのシャツと古ズボン。でも彼らの生活はとても豊かに見える。私たちが忘れている豊かさ・・・

champignons_430.jpg

パリとは天と地ほど違う田舎の生活。時間が経つのを忘れる。
「いつ帰ってくるのよ!明日まで英語の本、買わなくちゃいけないのに!」という娘の電話で現実に引き戻された。

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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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