2週間続けて週末、田舎の実家の片付けに来ている。
家中くまなく掃除機をかけ、天井のクモの巣まで(クモさんまで!)吸い取る。窓を全部開け放し、シーツやナフキンを洗う。古い雑誌、賞味期限切れの缶詰・・・いろんなものを捨てる。

7月末に亡くなった義父は貴重な教訓を残してくれた:彼のように老いてはいけない!
とにかく口うるさい人で、子供を連れてくると「足音がうるさい」「ドアをバタンと閉めるな」「庭で遊ぶと芝生がいたむ」「花が折れるからボール遊びをするな」・・・どこからともなく現れては、ことごとく禁止した。

これが「禁じられていた庭」
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冬は零下10度まで下がる寒さ、私が暖房をつけっぱなしにしていると「不経済」と怒られた。
耳が遠いけど補聴器は「老人ぽく見えるからイヤ」。食卓では人の話はよく聞こえないから、一人でしゃべり、それもドイツ文学や、誰も聞いたことのないドイツ詩人の話なので、みんな黙りがちになった。
当然、子供達の足はだんだん遠のいた。

自分の生活スタイルを守るのが大事なので、友達づきあいも少なく、いきおい孤独な晩年になったけど、だからといって方針を変える気配はなかった。

仕事しか趣味がない人で、ドイツ文学教師を退職してからも、論文を発表したり、亡くなる前の5年間は生まれ故郷の村の歴史を500ページの本にした。
映画も観ず、テレビはニュースだけ。すごい音量にしないと聞こえないので、一緒に観る人は耳を塞いでいた。
小説を読んでいる姿は見たことがなく、読むものと言ったらル・モンドくらい。綴りの間違いを見つけては投書していた。さすが元教師。
食べ物に関しても偏狭で“エキゾチックなもの”(すなわち日本のご飯)はすべてノン。昔、一度お寿司を出したら、バゲットと一緒に食べたっけ。
趣味・娯楽がない人だったんで、寝たきりになってからは、夫いわく“天井を見て過ごすしかない”。仕事一辺倒の日本のお父さんたちも、この危険性ありでは?

お義父さん、ごめんね。でも本当のこと。反面教師でも、貴重な教訓を残してくれたわけだ:たくさんの趣味と好奇心を持ち続けること。人間関係を大事にして世界を狭めないこと・・・
でも、今はエラそうなこと言ってても、自分が年とったらどうなるかわからない。お義父さんと言い勝負のイジワルばあさんになったりして・・・なりそうだ。

住民200人の村の教会墓地。いつも花がいっぱい。

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これ何だかわかります? 昔の洗濯場。

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近所の人と義父の思い出話をして、彼の意外な面も発見した。お隣さんは元銀行員で、アフリカ諸国あちこちに転勤になり、コートジボワールで若い奥さんを見つけて戻ってきた。リタイアして田舎に引っ込んだ彼は71歳、妻35歳!褐色の肌の美しいクリスティーヌに義父はご執心で、庭でとれた木苺を「奥さんに」と届けに来ていたそうだ。カワイイじゃない!
それからカーラ・ブルーニのファンだったとか。あんましカワイクないけど。


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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