片や、パリ郊外で何トンというドラッグと現ナマを操る密売組織、片や、脱税に頭を悩ませ、何でもキャッシュで払うのが好きなパリの名士たち・・・出会いそうもない2つの世界が、共通の利益で結びついていたという映画のシナリオみたいな話。
モロッコ・パリ・ジュネーヴを結んでマリファナ大密輸をやている『El Maleh(エル・マレ)一家』の捜査をしていた警視庁麻薬捜査課、ヤクを詰め込んでスペインからパリ郊外に突っ走るGo fast(陸上・海上をすごいスピードで麻薬を運ぶ手段)の輸送車をキャッチしたのは今年はじめのこと。が、捕まえずに泳がせて、お金の動きを探ると・・・末端のディラーたちからエル・マレ兄弟の一人の手に、ずっしり重そうなスーパーの袋が手渡されていた。
スーパー袋はどこへ行く?
盗聴と尾行で、警視庁はスーパー袋の道筋を一歩ずつ辿る:失業者風のぱっとしない運び屋は、シャンゼリゼやジョルジュⅤ通りなどリッチな地区にやってきて、ビシッとスーツにネクタイの男とカフェで落ち会う。
スーパー袋は“失業者”からスーツ男のアタッシュケース(しばしばエルメス)の中へ、ランデヴーは1分とかからない。
こうやって7ヶ月の間に約1200万ユーロのキャッシュがヤクのディーラーからパリ名士たちのポケットへ。
後者は、エル・マレ兄弟が管理するスイスの銀行口座を持っていてそこに振り込む。お金を洗浄したい密輸グループも、遺産などで転がり込んだお金に税金を払いたくないリッチも、みんな満足、というわけ。

捜査で、エル・マレ一家と結託していたパリ名士30余人の名前が上がり、そのうち9人が司法抑制下(予審判事に定められた地区から外に出てはいけない、予審判事から認められた用件意外、自宅を留守にしてはいけない、定められた保証金を払う・・・など17か条)に置かれ、保証金は10万~100万ユーロ。
この9人の中に、ヨーロッパ・エコロジー緑の党の議員でパリ13区長助役のフロランス・ランブランの名前があり、家宅捜査で35万ユーロの現ナマが見つかったから大変。左派の中でもとりわけクリーンなイメージを売る緑の党議員が!

「ドラッグ密売組織のマネー・ロンダリングなんて全然しらなかった。税金を払いたくなかっただけよ・・・」

elue-parisienne-florence-lamblin.jpg

彼女のおうちで見つかった札束、チョコレートの包みのようなのは金のプレート
perquisition-chez-Florence-Lamblin.jpeg

そのビックリが静まらぬうちに、ヴァンサン・ペロン教育相が密売防止のため、マリファナを免罪にしたらどうか、と提案したんで、エロー首相は真っ青、右派はここぞとばかり突っ込みにかかり、教育相の辞任を要求する。
よりにもよって教育相が、誰が考えたってアホじゃあるまいか、というタイミングの悪さ。
首相は「彼個人の見解で、政府の立場では全くない」と苦しい弁明をしていたけど、個人の見解でもヤバイよね。

サルコジに投票するリッチ層が関わっているはずのフレンチ/モロッコ・コネクションが左派の失点になるという意外な筋書き。税金逃れに頭と時間を費やしている富裕層に眼をつけたエル・マレ一族(顔が見たい!)の頭の良さや、盗聴・尾行・張り込み・・・推理小説のような捜査に思わず興奮してしまう事件だ。


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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