眼科医をくどく法

夏前から瞼がアレルギーになり、ちょっと腫れている。
「ね、腫れてるでしょ?」と友達に聞くと「ううん、いつもと同じ」と傷つくことを言われるけど、私の“正常な”眼はこんなんじゃない。その上痒みもあるんでうっとうしい。コンタクトレンズが合わないのかも。
で、眼科医に電話すると、予約は2ヶ月以上先だと。先生がバカンスなんだろうか。ま、大した事ないから、と2ヶ月待って、9月初めに電話すると、また2ヶ月先。腹が立って「そんな待てませんから他所に行きます!」と電話を切ったが、他所に行くって・・・どこに行く?

パリにはQuinze Vingt(キャンズ・ヴァン)と呼ばれる眼科の救急病院がバスティーユのオペラ座裏にある。予約なしだから本を持ってでかけていった。待合室には20人くらい待っていて、インターン風の若い眼科医3人がバサバサと患者をさばいている。
1時間以上待って診察は5分。「アレルギーですね」と目薬と塗り薬の処方箋をくれて、診察料9ユーロ(眼科医だと60~70ユーロ)!なーんだ、こういうテがあったのね、とゴキゲンで帰ってきた。

ところが、アレルギーは少し治まったかと思うとぶり返す。仕方なく「他所に行きます!」といったかかりつけの眼科に電話。「あの、瞼が腫れて・・・」と言いかけると「じゃ、今日の午後いらっしゃい」!!“2ヶ月先”を予期して反論を準備していた私は拍子抜けして受話器を取り落としそうになった。

待合室で1冊目の週刊誌半ばで先生が現れ、
「おお、久しぶりじゃないか」よく言うよ。
「だっていつ電話しても2ヶ月先って」
「電話したとき何て言ったの?」
「最初のときは、コンタクトが合わなくなったんで処方箋が必要だって・・・」
「そう言ったら2ヶ月先だよ。“緊急です”って言わなくちゃ」
「緊急じゃなくても?」
「そう」
ちなみにキャンズ・ヴァンが処方した塗り薬は、一時的に抑えるだけであまり長く使ってはいけないんだと。
ついでにコンタクトの処方も試みる。
「この前、夜道でばったり会ったでしょ。あの時、先生が手を振らなかったら、誰だかわからなかった」
「そりゃ大変だ。視力を調べよう」
上手くいったぜ!

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「やっぱりAAAに見えますが・・・」「なぜもっと早く来なかったんです!」

さてなぜ眼科の予約を取るのが大変か、というと数が足りていないからだ。パリでは人口3000人に1眼科、平均100日待ち。地方では26000人に1眼科で、6ヶ月待ち。地方からパリの眼科まで来る患者も少なくないらしい。
なぜ数が足りないか、というと医学部のヌメルス・クラウズス(入学制限)が厳しくなり、90年代に医学生が著しく減った。近年その制限が緩和されたけど、眼科医になるのは10-12年かかる・・・
さらに眼科医など専門医は診察料が高く(60ユーロ~)そのうち健康保険で返ってくるのが15.1ユーロだけ。いきおい富裕者の多い大都会に集中する。

目は大事(心の窓!)だし、どんどん老齢社会になるし、眼科医不足は由々しき問題。“緊急です”のテクを教わったものの、いつも使っていたら、ほんとに緊急のときどうなるんだろう?とイソップの『オオカミと少年』を思い出す私。

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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


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