映画『11.6』が公開になって、3年前の現金輸送車横領事件を思い出した人は多いはず。
11月6日か6月11日に起こった事件ではなく、盗まれた金額が11.6ミリオンユーロだった。

2009年11月、現金輸送車を運転していたトニ・ミュズランが、札束とともに走り去った、というニュースを聞いたとき「やってくれる!」と思った人が少なくなかった。一滴の血も流さず、11.6ミリオンユーロ(約14億円)を掠め取った快挙。

ところが犯人トニ・ミュズランはもっと屈折した男だった。
1970年生まれのユーゴスラヴィア人で22歳で移民としてフランスにくる。電気技師をしていたけど、LOOMISという現金輸送会社に入社。マジメな社員(概して、犯人はマジメで感じのいい人が多い)。事件は入社10年目に起こった。

こちら、実物のトニ・ミュズラン
犯人のミュズラン

フランソワ・クルーゼが演じるミュズラン
フランソワ・クルーゼ

11月5日、フランス銀行で現金を積み込み、次の現金回収場所で同僚が降りた2-3分の間にミュズランは輸送車を発車させていなくなった。積んであった11.6ミリオンユーロはすべて番号を控えていない新札だった。
間もなく、空っぽの現金輸送車が乗り捨ててあるのが見つかり、2日後、彼が偽名で借りていたガレージで、9.1ミリオンユーロが見つかった。
差額2.5ミリオンユーロを持ってミュズランはどこに逃げたのか?重すぎて全部は持ちきれなかったの?

また彼が赤いフェラーリを持っていたこと、犯行の直前に13万7000ユーロの預金を全部下ろしていたことがわかった。月給1700ユーロの彼にどうしてそんなお金があったんだろう?

2ヶ月後の11月16日にミュズランはモナコの警察に自主して、翌日フランス警察に引き渡される。差額の2.5ミリオンを着服したことは否定し続けた。

暴力なしの単純窃盗で禁固3年の刑(そんなに軽いんだ)。ところがフェラーリを盗まれたといって保険金を騙し取っていたことがバレて5年に延びた。他の受刑者が、2.5ミリオンの行方を知ろうと圧力をかけるのを避けるため、独房に入れられている。
盗んだお金の殆どはすぐ見つかる場所に“隠し”、自首して出る・・・じゃ何のためにやったんだろう?差額はどこに消えたのか?
映画は事実に忠実で謎はそのまま残し、ミュズランは自虐的な、マゾっぽい性格じゃないか、と仄めかすのに留めている。

ところで、見つからないまま時効になった1968年の三億円事件(知らない人、多いでしょ)、今日の貨幣価値で換算するとこの事件とほぼ同額になるのでは?
白バイに変装したあの犯人は今、どうしているでしょうね・・・


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コメント
初めまして
三億円事件、知ってますよ~。
『11.6』は3年前ですか?
ドキドキの映画になってるのかな?

私の若友あくびちゃん(フランス在住)からこのブログを教えてもらいました。あくびちゃんが暮らすようになって、遠い遠い世界だったのが身近になりました。新たな興味で読ませていただいてます。
黒猫が大好きなので、アナイスちゃんのことも知りたいです。
お時間あれば我が家の黒猫カノンもどうぞ!
63歳の手習いブログです。大阪に住んでいます。
(いじわるばあさんを目指しています)

これはあくびちゃんのブログです。http://ameblo.jp/akubi1973/
Re: 初めまして
ありがとうございます。
2009年11月5の事件です。映画は、犯人がどういう人間だったか描いているので、ドキドキというよりドキュメンタリーを観ているようでした。それだけにリアルですけど。

アナイスは相変わらずヘンな猫ですけど、この子が死んだらどうしよう?というくらい可愛いです。
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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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