そのアヴァンチュールの時間

アリックスは地方の舞台に出演している売れていない女優。オーディションがあって早朝、パリに戻らなければならないが、ついてない:キャッシュディスペンサーにカードを入れると、口座が赤字でお金が出せない。携帯電話のバッテリーがない・・・
アリックスは同じ車両にひとり座っている中年過ぎの男性に注意を引かれ、チラチラと見る。彼女の視線に気付いて、男も見返す。視線の遊び。
パリに着くと、男が英語で話しかける。「○×教会に行くにはどのメトロに乗ったらいいでしょう?」アリックスがメトロ地図を頭に浮かべている間、他の乗客が代わりに答える(こういうお節介、必ずいる)。
一緒に暮らす恋人に電話するが留守電。まったくついてない。
オーディションが終わってからも、中年男のことが頭から離れないアリックス。○×教会まで出かけていき、葬儀に参列している男を見つける・・・

le temps de l'aventure/そのアヴァンチュールの時間

タイトル『Le Temps de l’aventure/そのアヴァンチュールの時間』から想像できるように、一日のアヴァンチュールのお話、と言うと「なーんだ」と思われるだろうけど、ただのアヴァンチュールとは違う。
まず主役のエマニュエル・ドゥヴォスがすごくいい。恥も外聞もなく、自分の欲望に突き進んでいく彼女の一挙一動をカメラが追いかける。彼女の歩き方はふわふわと軽やか(インタビューで「2ヶ月コーチについて歩き方を練習した」と言っていた。「普段はドタドタ歩くのよ」)で、「ここまでやるか?」という一途さと不思議なコントラスト。
一方、男のほうはアイルランド出身の見たことがない俳優。行きずりの女と寝たりしなそうな、品と教養のあるジェントルマンだ。
エマニュエル・ドゥヴォス。美人というわけではないけど、独特の魅力と存在感。好きな女優だ。
le temps de l'aventure/そのアヴァンチュールの時間2

お金がない、携帯がない、恋人は捕まらない・・・という、普通なら「うちに帰って寝よう」という状況で、自分のときめきを見極めようとする。そして情事の終わりに、彼女は男の名前すら知らなかったことに気付く・・・なんか納得できてしまう。シナリオもいいってことだ。
2人がベッドでする会話にこんなのがあった。
「君は女優なのか・・・じゃ嘘つきだね」
「ううん、あなたのほうが嘘つきよ」
「?」
「だって男だもの」(このやり取り、女の勝ち!)

映画館にはひとりで観にきている女性がけっこういた。彼女達が「なるほど、次回はこのテで迫ろう」と思っているような気がしないでもなく・・・やりかねないものね。

Le Temps de l’aventure
ジェローム・ボネル監督作品
エマニュエル・ドゥヴォス
ガブリエル・バーン
1時間45分
公開中

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コメント
男優は…
ベテランのガブリエル・バーンではないでしょうか?英語圏の映画によくでていますよね。(それでも見た事もないというのはありえますが…) 
Re: 男優は…
バーンと発音するんですね、すごい間違い、失礼しました。
経歴を見ると、たくさんの映画やTVドラマに出ている俳優ですけど、フランスでは知らない人が少なくないです。
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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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