アドレッサンと再構成家族

私のカットをしてくれるジェラールは、バスティーユに小さなヘアサロンを持っている。おしゃべりするうちに仲良くなって、バカンスの貸しアパルトマン情報を交換したり、「前髪だけ切って!」と駆け込むとタダでやってくれたり。
昨日行って「サバ?」と聞くと「全然」というお返事。
「息子のことが心配で、夜もよく眠れない」
彼の息子は23歳の情報処理エンジニアで、大学を出てからCDD(期間限定契約、日本でいうと派遣?)で勤めたけど、それが終わってから仕事がない。
「一日うちに閉じこもって『World of Warcraft』をやっていて、全然外に出ないし友達もいない」
「それ、テラピストとか分析家に相談したほうがいいんじゃない?“引き篭もり”って聞いたことある?そういう状態は長く放っておかないほうがいいらしい」

引き篭もりはHikikomoriとそのまま使われ、最初は日本特有の社会的病理のように扱われたけど、当然フランスにもいる。日本と同じで数が出しにくいけど、若者の失業・就職難が問題になっているだけに閉じこもる人は少なくないはず。
「僕もそう思うんだけど、23歳だもの。襟首を掴んで連れていける年じゃない」
「アドレッサンが終わる年齢が段々遅くなってきて、うちの息子だって精神年齢のほうが低いもの。襟首掴んでいいんじゃない?息子さんと一緒に住んでるんだっけ?」
「いや母親と暮らしている」
で、その“母親”は、時間がないとかテラピストはお金がかかると言って、動こうとしないそうだ。父と母が別れていて「子供のことは私のほうがわかっている」「あいつの言うことは賛成したくない」という確執があると、さらに厄介だ。

ジェラールには息子より3つ年下の娘もいて、
「彼女は正反対の頑張り屋。研修に行っていて夜はバイトで、こっちがハラハラするくらい」なんだって。
娘さんがバイトで遅くなると迎えに行ったり、郊外で仕事の面接があった時は半日仕事を休んだり、と優しいパパだ。
「娘さんとは一緒に住んでるだっけ?」
「いや彼女は父親と暮らしている」
ここで私の頭は「?????」だらけになった。
息子が母親と暮らしている、は納得。でも“娘は父親と暮らしている”なら、彼は一体、娘の何なんだ? 同性カップルで養子ってこと?20年も前に・・・?その3年後には”娘の母親”と?
「あ、話に夢中になって、短くしすぎた?」とジェラール。
「!!」

中は「????」、髪は「!!」の頭で、私はサロンを出た。


ランキングに参加しています。お気に召したらクリックしてください。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村

スポンサーサイト
コメント
大寅 結人です。
初めまして。大寅 結人です。
ブログ読ませて頂きましたのでコメントを残させていただきます。
コメントの投稿
プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
最近の記事
カテゴリー
おすすめ書籍
RSSフィード
おすすめコスメ
フランスに行くなら
プロヴァンスの田舎町をまわる1日
アーカイブ