ソフィア・コッポラの新作『The Bling Ring』はフランスでの評判はまぁまぁ。「現実にあったことをそのまま描いているだけで、視点が感じられない」という声もあり、これまでの作品みたいに絶賛ではなかった。でもソフィア・コッポラだもの、観ないわけにはいかない。

ソフィア・コッポラ『The Bling Ring』

ロサンジェルスに住むニッキー、サム、クロエ、レベッカは、スターのファッションや高級ブランドに憧れ、Facebookが大事な10代の女子4人組。そこへ転校生のマークが白一点で加わり、ネットでスターのスケジュールを調べ、留守を狙って泥棒に入ることを思いつく。

ニッキーは『ハリー・ポッター』のハーマイオニー、エマ・ワトソン
ソフィア・コッポラ『The Bling Ring』2

1回目がウソみたいに上手くいったのでやめられなくなり、パリス・ヒルトン、オーランド・ブルーム、レイチェル・ビルソンなど、スターの豪邸を軒並み狙う。
犯人グループは『Bling Ring』と名づけられ、彼らが盗んだバッグ、ジュエリー、服、靴、現金・・・は総額300万ドルに達した。

”お仕事”の後はクラブで酒とドラッグ。Facebookに載せる写真も忘れずに!
ソフィア・コッポラ『The Bling Ring』3
photos:Allociné

事件の視点が感じられないどころか、全編皮肉っぽく、特に親たちがカリカチュアに近くアホに描かれている。一方若者達-特にグループ唯一の男子マーク-を見る目は寛大だ。お金第一の消費社会、“露出趣味”のソーシャルネットワークが横行する時代の“犠牲者”。
ネットをちょっと探せば、スターたちの住所も、モノに溢れた贅沢な生活も公になっているんだから、彼らは罪悪感をあまり感じず「お買い物に行きましょ」というノリで盗みに入る。防犯カメラの存在も考えず、盗品をすぐFacebookに公開する無防備さ。
「スターのようにお金持ちで有名になりたい」という“夢”と、現実感を失わせるヴァーチャルな世界・人間関係・・・観たあとジワジワ来る作品。

『ヴァージン・スーサイド』『Somewhere』では、物質的には何一つ不自由なくても、心に空洞を抱えるアドレッサン(10代)の姿を描いたソフィア・コッポラ。彼女の目を引いたこの事件は2010年に起きて、Vanity Fairに詳しい記事が載り、タイトルは『容疑者はルブータンを履いていた』だった。

パリス・ヒルトンはこの映画の撮影のために自宅を提供。悪趣味豪華な家、ちょっと盗まれてもわからないくらいの膨大な持ち物・・・カンヌでの上映にも来ていたそうだけど、一体、どういう気持ちでこの作品を観たんでしょうね。


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


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