ミュージック・ホールで大人気の天才ピアニスト、リベラーチェ(1919-1987)。金ピカのスーツに、床を引きずる毛皮のコート、運転手つきのリムジンでステージに現れる・・・超派手でキッチュな彼のショーはラス・ヴェガスで大ウケで、当時のショー・ビジネス界で一番稼いでいるミュージシャンだった。
1977年、スコット(マット・デイモン)はリベラーチェ(マイケル・ダグラス)のショーの楽屋を訪れた。年の差も、環境の違いもぶっ飛ばし2人はひと目惚れ、一緒に暮らすことに。リベラーチェの家はステージと同じ、お金のかかった悪趣味ゴージャス。シャンパンを飲みながら一緒にお風呂に入り、2人は恋を語り合う。
ゲイであることを生涯隠し続けたリベラーチェとスコット(愛人、秘書、運転手・・・)の、波乱の5年間を描いた作品。

『恋するリベラーチェ』

主役の2人がすごくいい。これまでの渋めシリアスな役とはガラリと違うマイケル・ダグラス。監督のスティーヴン・ソダーバーグは『トラフィック』(2000)の撮影中に、マイケル・ダグラスに「君ならリベラーチェを演じられるんじゃない、というより、君しか演じられないと思う」
麻薬捜査官として密売人を追っかけていたマイケル・ダグラスは「冗談だと思った」
ソダーバーグはマジで「考えといて。心の準備ができたら連絡して」
その間、マイケル・ダグラスは闘病生活があり、13年経って実現したわけだ。
養父母との慎ましい暮らしから、突然エキセントリックなショービジネス界に放り込まれ、戸惑いながら染まっていくスコット、マット・デイモン、 “ジェイソン・ボーン”(大好き)の硬質で冷たい魅力とはガラリと違う。すごく上手い。
成金悪趣味のステージ衣装や、自宅のインテリアも、ここまで徹底すると許せて面白い。

「え!この金ぴかブレスレット、僕に!?」
『恋するリベラーチェ』

実物のリベラーチェとスコット。
リベラーチェとスコット

リベラーチェは、1952年にTVで始まった『リベラーチェ・ショー』の最初の2年だけで700万稼いだとか。エリザベス・テーラーの『クレオパトラ』のギャラが100万ユーロだったから、これは巨万の稼ぎ。これほどの人気エンターテイナーがどうしてフランスや日本で知られていなかったか不思議だ。同時代のフランク・シナトラは世界的に有名なのにね。
リベラーチェの派手でキッチュなステージ衣装は、エルヴィス、エルトン・ジョン、マドンナにも大きな影響を与えたといわれる。彼の衣装や、特注のキャディラック、メルセデス・ベンツやピアノはラスヴェガスの博物館に陳列されている。この博物館、今は訪れる人も殆どいなくて、閉館しようかという時、この映画が登場して元気になったそうだ。
そう、この映画は「ゲイすぎる」という理由で本国アメリカでは配給会社が見つからず、映画館上映されなかった。ずっとハードなもんがネットやTVでかかっているのに、どこが「ゲイすぎる」のか? 忠実な伝記映画じゃない。またまた不可解なアメリカの“ポリティカリー・コレクト”。

『la vie avec Liberace/恋するリベラーチェ』
スティーヴン・ソダーバーグ監督作品
フランスで公開中。
日本では11月1日封切り


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


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