木登り子猫の48時間

アパルトマンの中庭で猫の鳴き声がしている。どこの窓だろう、と見上げても猫の姿はなく、じゃどこで鳴いてるの?
「あそこだよ」
息子に言われて見上げると、中庭の高い木の上のほうに小さな黒猫。

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ひえー、随分高くまで登ったのね!でも登れたなら降りられるでしょ。
私は出かけ、夜帰ってきたら子猫はまだ木の上で鳴いていた。

ヒマで、経過を追っていた息子によると、木の上にいるのは隣の建物の女性の、5ヶ月の子猫。
飼い主が消防署に電話したら「猫の救出までやっていたら火事を消すヒマがない」という返事で-『人と動物の救助』は消防士のミッションに入っているんだけど-「そこをなんとか」と執拗に頼んだら来てくれた。のはいいけど、物々しい梯子や、荒々しい消防士たちに怖じ気づいて、子猫は降りようとしなかった。
消防士たちは「猫は必ず自分で降りる」というご託宣を残して帰っていったとか。

心配になって眺めていると、2階の窓から木に向かって細長い板が差し伸べられた。寒いし、お腹も空いただろうし、救いの板に飛び移りなさい!
2階の住人は世話好きを通り越してお節介なマダムなので、安心してうちに入った。翌朝は鳴き声も聞こえなかった。

翌日の日暮れ、また鳴き声がするので見上げると、子猫が木の上に!鳴き声は昨日より絶望的になっている。上のマダムのベルを押すと、私が口を開くより前に「猫のことね!」
板を差し伸べても猫は動こうとせず、救出できなったそうだ。つまり籠城2日目ってこと。
もっと上の窓じゃないとダメなんだ、と私は3階に駆け上がりベルを押すと「猫のことだね!」
みんなが心配していたらしく、これだけ猫好きがいるとは嬉しい。しかし、3階の窓から板を差し伸べても、食べ物を見せても、猫は動こうとしなかった。
子猫が2日間何も食べかったら餓死するんじゃない?それにいくら毛皮を着てたってこの寒さ・・・いても立ってもいられないけど、なす術もなく。
真夜中近く外に出てみると、鳴き声が別の方向から聞こえてくるような・・・声のするほうに行ってみたら、問題の猫が階段の暗がりで鳴いていた。おお!ひとりで降りたのね!消防士のいうことは正しかった。
気品のある綺麗な猫!抱き上げるとビロードのような手触り、鼻をグスグス言わせている。そりゃ風邪ひくよね。
うちに連れて入り、キャッツフードと缶詰のツナをあげると、すごい勢いで平らげた。そこへ現れたうちの猫、アナイスは胡散臭そうに匂いを嗅ぎ、タマは毛を逆立て攻撃態勢に。急いで子猫を娘の部屋に閉じ込めた。

翌朝、飼い主が迎えにきた。私はいなかったので「モン・ベベ!」「ミャーオ」と感動的な再会の場面は逃した。以来タマは、「小さな生き物を見たと思ったのに一体どこに行った?」という顔でうち中嗅ぎまわり、アナイス(右)は「若い猫に夢中になって!」と嫉妬でむくれている。

アナイス&タマ


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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