若い妻イラは、倦怠ムードの夫にアピールしようと、気合を入れたおべんとうを作る。出来上がったおべんとうはボンベイの“おべんとう宅急便”で会社まで運ばれる。
このシステムが物語と同じくらい面白い:日本の2段重ねのお弁当もぶっ飛ぶ4段重ねで、主菜のカレー、野菜、ご飯、ナンがそれぞれ入っている。積み重ねると長い円筒形。それを宅配人がウチまで取りに来て、自転車に円筒形をたくさんぶら下げて駅まで運び、そこから電車のお弁当用専用網棚に積まれ、それぞれ会社まで運ばれる。食べ終わったお弁当箱は同じルートでウチに戻ってくる。朝、自分で持っていって持って帰ればいいでしょ、と思わないでもないが、弁当宅配サービスはインドの大規模ビジネスのようだ。

『ランチボックス』インド映画

イラの話に戻って・・・念入りに作った彼女の愛妻弁当は、間違ってサアジャンの元に届けられる。サアジャンは、妻に先立たれた定年間近の男性。
夕方、お弁当箱の帰りを心待ちにしていたイラが開けると、すっかり食べられていていた。翌日も心を込めてお弁当を作るイラ。戻ってきた空箱には「ちょっと塩辛かった」の一言。彼女はお弁当が別の人の元に届けられたのを知る。それから見知らぬ男性との間に文通が始まった。サアジャンはお弁当の中身より手紙を心待ちにするようになる・・・

人生に疲れた孤独なオジサン、サアジャン
『ランチボックス』インド映画

夫とうまくいかない空虚を文通で埋めるイラ
『ランチボックス』インド映画

懐かしい情緒のある世界、日本映画ファンの友人なら「小津的」と言うかもしれない、きっと言うだろう。
言葉少ない映画だけど、そのやり取りは繊細だ。夜帰ってきた夫に、新婚当時のドレスを着てみせるイラに、夫は(他の人が作ったお弁当を食べているのにも気付いていない)「カリフラワーばっかり入れるのはやめてくれ。ガスが溜まって困る」となんとも色気のない返事。2人の距離感が浮き彫りになる。

『レ・ギャルソン、ギヨーム・・・』もそうだけど、アナログな世界がとても新鮮。殺伐とした世の中に、1時間半の温かさ!
『The Lunchbox』
Ritesh Batra監督作品
インド・フランス・ドイツの合作
公開中

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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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