離婚したい妻、同意しない夫

ヴィヴィアンヌは3年前から離婚したがっている。でも夫は承知しない。
民法上の結婚がないイスラエルでは、結婚・離婚はラバ(ユダヤ教の指導者)によって承認され、離婚は、夫が妻を“離縁”しないとできない。ヴィヴィアンヌの「離婚要求」の訴えを前に3人のラバは理解に苦しむ。

Proces de Viviane Alsalem2

「愛情がなくなった」「性格の不一致」・・・ヴィヴィアンヌと弁護士の訴えはすべて却下される。
「あなたの夫は家庭にお金を入れ、暴力は振るわず、愛人もいない。なぜ離婚したいのかね?」
結婚は感情の問題ではなく、社会的な絆なのだ。 
「離婚したい。自由になりたい」というヴィヴィアンヌ、「絶対しない」という夫。
平行線のやりとりが、ラバの法廷で3ヵ月後、1ヵ月後、2週間後・・・と繰り返される。
家族や友人が証人として呼ばれる。その多くは「模範的な夫」「素晴らしい妻」と証言する。
結婚の“たてまえ”が大事で“本音”はどうでもいいってこと。
ユダヤ教では、人妻はほかの男性とお茶を飲むのさえ禁じられている。弁護士と一度カフェで会ったことが「不倫か?」と糾弾される始末。

彼女が美人なのも禍している・・・すぐに他の男性が見つかりそうだ。
ヴィヴィアンヌ役のロニ・エルカベッツは監督の1人(もう1人は彼女の弟)
Proces de Viviane Alsalem2

次第に夫の意図が見えてくる。「離婚しない」は、自分と別れたいといっている妻への最大の復讐なのだ:この女に自由を与えてなるものか。
「今でも愛している」という言葉とは裏腹に、妻を見る目は憎しみに満ちている。

Proces de Viviane Alsalem3

イスラエル映画『Le procès de Vivianne Amsalem/ヴィヴィアンヌ・アムサレムの裁判』は、ラバの“法廷”(といっても 簡素な部屋にプラスティックのテーブルと椅子)と待合室だけが舞台。

Proces de Viviane Alsalem

こういうアクションのない映画は居眠りしてしまいそうだが、全然!段々上がっていくテンション、殆どシュールな証人と弁護士のやりとり。証言から垣間見られる女性の立場・・・に居眠りどころではない。2時間が長く感じられなかった。

70年代に一度訪れたことのあるイスラエルは、若くてエネルギッシュな国に見えたけど。その内側では、宗教の戒律にがんじがらめになり、パレスチナの地をめぐって出口のない争いが続いている。人間の救いであるはずの宗教が、自由を奪い、武器を持たせるという、恐ろしいパラドックスだ。この国に生まれなくて良かった・・・

『Le procès de Vivianne Amsalem』
Shlomi & Ronit Elkabetz監督作品
主演:Ronit Elkabetz、 Manashe Noy
1時間55分
フランスで上映中


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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