10月に発表になったノーベル賞。今週はストックホルムに受賞者たちが招待され、レセプションやコンサート、記者会見・・・の“ノーベル祭り”、10日に1250人の招待客を集めたパーティで幕を閉じた、とル・モンドが書いていた。
最後に受賞者たちがスピーチをして、ノーベル文学賞のパトリック・モディアノも「ちゃんとしたスピーチをした」と聞いてびっくり。モディアノは口下手で、インタビューされても何が言いたいのかわからないので有名だ。「用意したテキストを読んだ」と聞いて納得した。

晴れの授賞式
パトリック・モディアノ ノーベル文学賞

「青春時代の英雄たちが名前を連ねるこのパンテオンに、私は魔法の杖の一振りで入れてもらえた気がします。その英雄たちのおかげで、私は作家になりたいと思い、読書は孤独な青春時代を救ってくれました」
なかなか詩的なスピーチ。“書き言葉の人”は前もって用意するのが正解だ。

実は、モディアノがノーベル文学賞と聞いてフランスでもびっくりした人が多い-村上春樹が有力候補と思われていた。
彼はフランスでこそ有名だけどベストセラー作家ではない。ヨーロッパの他の国では”一握りのファンが買う”だけとか。受賞は、外国でのモディアノ知名度を上げるのに貢献するはず。それだけに、受賞後、日本でモディアノの本が品切れになったいうのはすごい。知的好奇心の高さ!

パトリック・モディアノ

もう何年も前、モディアノを数冊、立て続けに読んだ。
『暗いブティック通り/Rue des Boutiques Obscures』『エトワール広場/La Place de l'Étoile』・・・この作家の本は、“筋が全然思い出せない”のが特徴(モディアノさん、ごめんね!個人的見解です)。
主人公が自分のアイデンティティや過去の秘密を探す、というストーリーが多く、映像が浮かぶ文章だったのを覚えている。日本語のような遠い言語に訳すのは、難しいだろうな。

モディアノの父親はユダヤ系で、1940年ヴィシー政権下の「ユダヤ人規定に関する法律」を潜り抜け、逃げ隠れする生活-子供のパトリックにそのことは知らされず、噂だけを聞く。母親はベルギー女優で留守が多く、それだけに弟、リュディとの結束は強かったが、弟は白血病で10歳で亡くなる。この孤独な子供時代、戦争、家族の秘密・・・はモディアノの小説のベースになっている。

ある日、息子が「読むもんがない」と本を探しにきたので、貸したら、「こんな退屈な本、10ページも読めない!」と投げ出した。その後も本を借りに来ると、「モディアノみたいなのはいやだよ」というくらい。あんたの年じゃこの渋さはわかるまい。
久しぶりにまた読みたくなったけど、息子に貸した『暗いブティック通り』は、おそろしく散らかった彼の部屋のどこかに埋もれている。

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コメント
村上春樹
尖閣騒動の煽りで中国の書店から自分の作品が消えたと嘆く、朝日新聞への寄稿を読んで、加害国と被害国との区別もつかぬ村上春樹の幼稚なレベルに驚いた。
丹念に読むと「騒ぎを煽る政治家や論客」への注意を呼びかけるなど、暗に尖閣の国有化を進めた自国を批判している。
だから中国メディアはこれを歓迎し、全訳まで配信した。
その直後にノーベル文学賞を逃したのはよかった。
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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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