パリが“世界の首都”になった一日

パリの地図上で見るとほんとに小さい、レピュブリック広場・バスティーユ広場・ナシオン広場・ペール・ラ・シェーズのひし形に150万人がひしめいた。
バスティーユ広場に出るなり動きが取れない。“行進”と言われたって、行くことも進むことできない。

パリ、銃撃非難の行進 バスティーユ広場

フォーブール・サンタントワーヌ通りからナシオンに達しようとする人波は、カタツムリのスピードでジリジリと、でも雰囲気は和やかだ。1時間早く出た娘たちに「どこにいるの?」とSMS すると「バスティーユの群の中!」

安全のため一時遮断されていたフォーブール・サンタントワーヌ通りが通行可能になって、少しまともに歩けるようになる。
『私はシャルリー/Je suis Charlie』のプラカード、“表現の自由”の象徴、えんぴつを帽子や髪にさした人、『父はイスラム教徒、母はカトリック、私は人間』『私はユダヤ教だ。イスラム教徒が行進の中にいてくれるといい』などのメッセージはインパクトがあった。
今度のテロで、過激な原理主義者とふつうのイスラム教徒を一緒にしてはいけないし、ユダヤとイスラムの対立を深くしてはいけないのだ(ヴァンセンヌのユダヤスーパーでアメディ・クリバリに殺されたのはみんなユダヤ人だった)。
それだけに、イスラエル首脳ベンヤミン・ネタニヤフとパレスチナ首脳マフムード・アッバースが一緒に行進に参加するのは画期的だ。

警官・憲兵の数もすごかった。レピュブリック広場だけで5000人とか。警官たちに拍手が起こる。『私はアメッド/Je suis Ahmed』というハッシュタグが生まれたくらい。アメッドは、シャルリー・エブド編集者を護ろうとして殉職した警官だ。
確かに、ここ数日の警官とRAID(国家警察特攻部隊)の活躍はすごかった。ヴァンセンヌのユダヤスーパーに最初に飛び込んだ人(くじ引きで決めたの?)は怖かっただろうな。案の定、脚に負傷した。

途中で娘と友達の一行に出会った。みんな杖のような棒を持っているんで「ナニソレ?」と聞くと「プラカード作ろうと思ったけど時間がなくて棒だけ持って出た」

再び道が遮断され、私と夫はナシオン広場に行き着けず、いつもなら20分で往復できる気距離を2時間近くかけて帰った。

フランスの象徴、マリアンヌが登場のナシオン広場

パリ、銃撃非難の行進 レピュブリック広場

帰ってすぐテレビで各国政府首脳の行進を見る。宗教も、肌の色も、政治的ポジションも無視して、手を繋いでいる進んでいく47人。前代未聞の光景にジーンとした。彼らの後ろに1人ずつボディガードが”張り付いた”。
マリーヌ・ル・ペンはパリをパスし、南仏Gard県の Beaucaireで行進。”FNの政治ミーティングのようだった”そうだ。

パリ、銃撃非難の行進 各国首脳

オランド大統領いわく「今日はパリが世界の首都」。フランス全体で330万人。1944年の『パリ開放』以来の参加者数だそうだ。
宗教・肌の色にかかわらず、フランスに住む人たちが「テロに屈せず、自由を護るために自分も何かしなければ」と思ったことの証。私もこの国を選んだ“移民”であることを実感した。
問題は、過激な原理主義者たちが、話してわかる相手じゃないってこと・・・


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コメント
>>アメッドは、シャルリー・エブド編集者を護ろうとして殉職した警官だ。

というところですが、この人は編集者たちが殺された後で逃亡中の犯人に路上で射殺された人です。
Re: Sekko様
言われるように”この人は編集者たちが殺された後で逃亡中の犯人に路上で射殺された人”ですが、数年前から編集長シャルブを護衛するために編集部につめていた警官だったので、こう書きました。
遠い日本からフランスの方々を心配しています。
行進に参加されたたか子さん初め皆さまの勇気を尊敬しています。
テロはもちろん許されるべき事ではありませんし、最近のイスラム過激派の狂気じみた所業の数々には怒りで胸が悪くなります。けれど表現の自由の名の下に、シャルリー・エプド誌が載せていた戯画・風刺画は正直言ってエスプリを感じるものではないと私は感じております。しいて言えば蛮勇の類、過激派を挑発するだけではなく、穏健で真面目なイスラム教徒にとっても侮辱的なものであったのではないか。そこのところになんの配慮もなかったことには誰もなにも言わないのですか?今は言わない、言えないでしょうけれど。そんなことに配慮していたら風刺は出来ないと言われるのかもしれませんが、その程度の風刺はただの悪意の垂れ流しです。
犠牲者が多数出た痛ましい恐ろしい事件で、これからもなにかが続きそうで不安ですが、一方、何かが根本的にずれている気がして、表現力のない自分をもどかしく思っていました。以下のような記事を見つけましたのでご一読頂ければと思います。
http://blogos.com/article/103382/







世界はフランスの行動に感動しているとは限りません。

侮辱の自由がどれだけ相手の尊厳を傷つけるかをわからなければ、
>話してわかる相手じゃないってこと
っていうのはフランス国民にも当てはまるのではないでしょうか。
自由原理主義者、そんなふうにも思えます。
今回のデモに関しては、フランス人の自由に対する権利意識の高さを感じました。やはりフランス革命によって自由を勝ち取ったという気持ちが強いからでしょうか。
そして各国首脳陣が参加して、一列に並んでいる風景にも静かな感動を覚えました。

大事な選挙で投票率50%、選挙が終わった途端、国民に不利な法案が可決されそうな状況の日本。ミスターシンゾウ・アベには招待もなかったのでしょうか。であっても参加すべきだったと思うのですが…。自由を守るという意思を見せるために。
Re: やよい様
招待というのではなく、各国の首脳が仏政府に「参加する」という連絡をしてきたようです。パレスチナとイスラエルがともに「参加する」だったので、政府がビックリしたというのを読みました。
安部首相も参加してほしかったですね。
日本からは鈴木駐仏大使がデモ行進に参加されたようですね。
パリの日本大使館のサイトを見て知ったのですが、フランスのメディアだけでなく日本のメディアでもほとんど取り上げられていなかったようなので、それまで気がつきませんでした。
Re: emeraude様
そうだったんですね。ありがとうございます。
アメリカも駐仏大使で、自国のメディアや議員から「もっと目立つ人を送るべきだった」と言われたとフィガロが書いていました。
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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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