2003年、『アラブの春』革命以前のチュニス。
バイクに乗った男が、歩いている女性のお尻を切り裂く、という事件が立て続けに起こった。被害者11人。
「後ろからバイクが近づいてきて、一瞬何が起こったのかわからなかった。間もなくお尻に鋭い痛み、触ったら血が流れていた」
被害者たちの特徴は、ピッタリした(しすぎた)ジーンズとかミニ(すぎる)スカートとか、扇情的な格好をしていたこと。

映画 challat de Tunis

女嫌いの犯行?政府の手先?それともただの都市伝説?犯人はChallat(切り裂き人)と名づけられ、解明されないまま10年が過ぎる。
女性監督Kaouther Ben Hania(カウテール・ベン・ハニアと発音?)は、この事件の“ドキュメンタリー”を撮ることにする。
映画で顔はほとんど見せないけど、なかなか可愛い。
映画 challat de Tunis

当時すごく噂になったのに、Challat(シャラ)を目撃した人はひとりもいない。街角やカフェで男性にインタビューすると
「セクシーな格好をしていれば切られて当然」という答えが少なくない。
「ドキュメンタリー映画のシャラ役」キャスティングをすると志願者が集まってくる。その中で「実はボクがシャラだった」という男子は「母親を除いて、女はみんな娼婦」とうそぶく。シャラは英雄なのだ。

この事件にインスピレーションを得てヴィデオゲームを作った男子もいる。お尻をナイフで切ると点数が加算、ヴェールを被った女性を切ったら減点になる。単純そうなゲームで私にもできそうだ。

映画 challat de Tunis

ムスリムの長老は、「悪は口から入る(アルコール、タバコ、ドラッグ)が、女も悪を仲介する」と堂々と言い切る。つまり男は元来、欲望のある生き物で、それを扇情する女は悪の仲介者というわけだ。
男だけじゃない。若い女性が「新品」か「中古」か見分けるというヴァージンメーターを売り歩くオバサンもいる。
アラブのムスリム国の中で最も女性解放が進んでいるといわれるチュニジアで、革命10年後に、結局何も変わっていない?・・・
“ドキュメンタリーを作る”過程を撮ったドキュメンタリー風フィクションという二重構造、ユーモアと皮肉に溢れ、予算は少なく、ピリッとエスプリの効いた作品。

『le Challat de Tunis』
Kaouther Ben Hania監督作品
1時間30分
パリの小シネマで上映中

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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


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