1958年。ドイツは和解の時代で、ナチの犯した殺人にも目を瞑ろうという風潮、100人あまりの元ナチの官僚は行政機関に組み込まれていた。何事もなかったように・・・。
入りたての若い判事、ヨハン・ラッドマンにはそれが我慢できない。彼は、アウシュヴィッツにいたSSを探し出し、裁判にかけようとする。

沈黙の迷宮

膨大な資料をしらみつぶしに読み、生存者の証言を聞く。気の遠くなるような作業が数年続く。

「ぎょっ、これが全部資料?!」
沈黙の迷宮

その上、
「ドイツは新しい章を始めたんだ」
「せっかく癒着した傷口をまた開くようなことをするな」
「ドイツの若者たちが、自分の父親は殺人者だったのかと疑うことになっていいのか?」
上司や周囲に反対され、脅されてもヨハンの決意は変わらなかった。
子供を人体実験に使った医師や、ガス室行きの選別をした人間をのさばらせておくわけにはいかない。

大多数が目を瞑ろう、口を閉ざそうという空気の中で、自国の汚点を明るみに出そうとした勇気と執念。
強制収容所を生き延びた人たちが証言する場面は、思わず目が熱くなる迫力だ。
そしてついに1963年、アウシュヴィッツの“執行人”たちの裁判が始まる。

『Le Labyrinthe du silence/沈黙の迷宮』。イタリア人監督Giulio Ricciarelli/ジュリオ・リッチアレリの、事実をもとにしたフィクション。初めての作品でこの完成度!
ヨハンは、現実に関わった3人の判事を1人に凝縮したそうで、演じるアレキサンダー・フェリングがすごくいい。

彼女ができたことはできたけど、会う時間があまりない。

沈黙の迷宮

5月3日、ダッハウ収容所解放70周年記念にアンゲラ・メルケルが出席した。ドイツの首相では初めてとか。
「ドイツは過去にあったことを決して忘れない」
実際に体験した世代はいなくなっても、70年が経っても、過去の“過ち”は認め、伝えていく。同じことを繰り返さないために。
「日本は過去の侵略の事実を認め、相手国が納得するまで謝罪するべきだ」という村上春樹氏のセリフを思い出した。

Le Labyrinthe du silence
Giulio Ricciarelli監督作品
2時間3分
フランスで4月29日封切り

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コメント
海外への移民は、日本で一体何が起こったか
まるで知らないからそんな悠長な事が云えるんだわ
(移民は元日本人でも無知が本当に多い)
今の日本人は、戦争についても、ボンヤリ何したかも知らない連中より
良く調べていると思うよ
大体ドイツは昔の人間を悪者にして、
全責任を圧しつけているだけでしょ
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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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