カンヌで9分半の喝采を浴びたこの作品

勤めていた工場が閉鎖され、ティエリーは失業中。あちこちに履歴書を送り、職安で研修を受け、職探しに明け暮れる。屈辱の日々。
妻と障碍児の息子の3人暮らし、失業手当500ユーロでどうやって暮していけるのか?
アパルトマンを売ったらどうか、と職安の人に言われる。それはできない。
「今まで積み重ねてきたことが全部崩れるような気がする」
そこまでは落ちられない。
失業20ヵ月後、ようやく見つけたのはハイパーの警備員だった。万引きを捕まえては尋問する・・・それはやりがいも喜びもない仕事で、ティエリーの中には澱が少しずつ溜まっていく。

カンヌ映画祭で、9分半という最長のスタンディングオヴェーションを浴びた『La loi du marché/市場の掟』。

la loi du marche/市場の掟

監督はステファン・ブリゼ。主演のヴァンサン・ランドンは最優秀男優賞を獲得した。
フィリップ・リオレの『Well come』では水泳コーチ、同じくステファン・ブリゼの『Quelques heures de printemps/春の数時間』では尊厳死を選んだ母親と暮らすムショ帰りの息子・・・この俳優は何を演じても真実味があるのがすごい。
今回も、屈辱に耐えながら、顔を上げて生きようとするティエリーになりきっている。他の出演者もリアルで、後から全員シロウト(実際のハイパーの店員や店長、職安の職員・・・)と聞いてびっくり。
私は、ヴァンサン・ランドンの出る作品は殆ど観ているファンなので、受賞のときは家族や友達から「よかったね!」と言われたほど。30年近い俳優生活で初めての賞だから、取って欲しかった。見かけによらず涙もろいのも可愛いじゃない。

ヴァンサン・ランドン カンヌ

ダルデン兄弟の『サンドラの週末』は、自分がクビにならないよう同僚を説得して歩く女性(マリオン・コティアール)の話、
ピエール・ジョリヴェの『Jamais de la vie/金輪際』は、生きがいのない孤独な毎日をアルコールで紛らわす夜警フランク(オリヴィエ・グルメ)の話。厳しい経済不況を反映した映画が最近多い。
こういう作品は、“旅”をさせてはくれないけど、人間の尊厳を踏みにじるような今の社会の一面を見せてくれる。

『La loi du marché』
ステファン・ブリゼ監督作品
1時間33分
フランスで公開中

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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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