ホラーな田舎の夜

私は家族の中で最も田舎に行かない。大きな理由は運転ができないことだ。
高校を出たとき、友達の何人かが教習所に通い出したので、私も!と早速。ところが、友達がスイスイ運転しているのに、私はエンストを繰り返し、車をぶつけ、中央分離帯を乗り越えたこともあったっけ。
「なんで足元ばっかり見てるの!前を見なさい」と教官。
「だってアクセルとブレーキ間違えたら大変だから・・・」
と私的には正当な理由があったんだけどね。
10時間、教習所内で乗ったとき、教官が、
「あんた、外に出たら一日に一人轢き殺すよ」
この一言で私は「やめます!」
フランスに住むようになってから、東京の教習所が厳しかっただけで、ここならできるかも・・・と何度か思った。その度に家族が、「僕は絶対乗らない」とか「教官に賛成だ」と言うので、結局トライせず今日に至る。

夫の実家があるシャンパーニュ地方の村は、人口200人足らず。村の名前と郵便番号だけで郵便物が届く世界だ。パン屋もカフェもない。子供たちは、近くの町まで往復30kmの坂道を自転車で行くけど、その体力もなく、パンを買うのも人に依存する。ひどく不便。
村の周囲は見渡す限りのブドウ畑
田舎の家

この週末、久しぶりで行ったら「随分来なかったね」「冬はイヤだって言ってたけど(-10度くらいまで下がる)、暑くなっても来ないじゃない!」と会う人ごとに言われる。忘れられないようにもうちょっと来なくちゃ・・・

着いた晩は従兄妹夫妻がご飯を食べに来た。12時ごろ、2階の寝室に引き上げる。最近イビキのボリュームが上がった夫は階下の寝室に寝ている。「つまり2階には私ひとり」ということに気付いた。寝室の横は大きな物置で、誰も滅多に入らない。
なに怖がってるの、バカみたいと言い聞かせ、推理小説を読み始める。間もなく眠くなって本を取り落とし、スタンドを消す、と真の闇だ。この田舎村には街頭もないので、外から差し込む光がない。眠かったのがパッチリ目が覚めてしまった。
また電気をつけて本を読み出したとき、部屋のドアがぎーっとひとりでに開いた。ギョッ。
3年前にこのうちで亡くなったお義父さんがもし出るとしたら、絶対階下に出るはず。お義父さんの部屋は下だったし、危ないのは夫が寝ている部屋だ、と言い聞かせる。
私は、廊下を点検し、ドアをきっちり閉めてベッドに戻った。

しばらく本を読んでいたら、突然スタンドが消える。電球がとんだのかと、手探りで天井の電気をつけると、こっちもつかない。今日、何度か停電になったけど、夜中になるな!
もう踏んだり蹴ったり、眠るどこじゃない。
幸い懐中電灯があったので、その明かりで本を読むことにする。でも懐中電灯の明かりでできる影ってなんか不気味なのよね・・・
夜が明けて外が明るくなったら眠ればいい、と開き直ったら、いつの間にか眠っていた。

自分がこんなに怖がりとは知らなかった。また田舎に来ない理由がひとつできちゃった・・・

夫が子供の頃は、庭の右隅にある小屋がトイレだった。夜行くのが怖かったそうだ。ワカルワカル・・・
田舎の家


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コメント
ふふふ(笑)。
文章を読んでいると笑ってしまいますが、わたしも夜一人の時に、ミシッとかガタッとか聞こえると、携帯を片手に(すぐ通報できるようにと考えるんでしょうか・・・)、家中の窓やドア、クローゼットの中まで点検してしまうことがあります・・・。主人には、誰かと鉢合わせしたら危ないから、そういう時はおとなしく寝ていろと、言われるんですけど。

お写真拝見すると、とても素敵な所ですね。
生活するのは、なかなか大変なのかもしれませんが、ヨーロッパの田舎の方って、どうしてこんなに素敵なんでしょう?
梅雨明けして、うだるような暑さの東京からはうらやましいかぎりです。
田舎は夜更かしするには不向きな場所ですよね(笑)私は、自然は好きだけど虫が苦手なので写真やテレビで旅行番組見るだけで満足です。

ギリシャの記事も見ましたが、せっかく美しいところなのにいろいろ不便で行けないのは残念ですね。フランスやドイツを恨んでるというのは意外でしたけど、ドイツはギリシャのおかげでぼろ儲けしてると聞いたのでお互いさまでしょうか。
Re: まめゆう様
子供たちに話したら、ゲラゲラ笑って「あのドア、ひとりでに開くんだよね」(知ってたのね!言ってくれればいいのに)
「そう、懐中電灯の影ってこわい!」彼らも眠れぬ夜を体験していました。

気候のいいときは、田舎は魅力を全開しますが、雨の日や冬はけっこう欝ですよ。

Re: mimi様
フランスもギリシャにお金を貸しているので、取り立て屋のひとりです。フランスはそれでもギリシャにユーロ圏に残って欲しいというポジションですが、メルケルさんはもっと強硬な態度でした。
来夏は行けるといいです!
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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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