酒と飽食の日々の憂鬱

田舎に行くと、朝10時だろうが午後3時だろうが「まぁ一杯飲んでいきなさい」になる。ここはシャンパーニュ地方で、シャンパン製造に関わっている人が多く、出てくるのは冷えたシャンパン。ポンという景気のいい音、ピチピチ煌く液体は1杯目美味しいけど、地元民のようには飲めない。やっとボトルが空になったと思うと、すかさず2本目が出てきたりする。

従兄妹夫婦は庭で野菜を育て、狩猟期に撃ち止めたイノシシや鹿(かわいそうに)の肉を大量に冷凍している。エシャロットをソースに入れただけのサラダはシャキシャキして甘みがあり、赤ワインで煮込んだイノシシは臭みがなくて柔らかい。

彼らの食糧貯蔵庫には、山で採ったキノコや肉のマリネ、果物の砂糖漬けなどが並んでいて、何ヶ月か自給自足できそうだ。

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アペリティフから始まる食事は延々と続き、空のボトルが並ぶ。
こういう生活をしている住民は殆どお腹が出て、多かれ少なかれ「アルコール依存症」だ。

従兄妹のジャン=ピエールもその例。120kgの体重で心臓には負担がかかり、肝臓は「フォアグラ」だというのにやめられない。
奥さんは「クリスマスまで太らせて食べよう」なんて冗談を言ってるけど、笑ってる場合?
「ちょっとは身体のこと考えたら?」と言いそうになって、これは“外の世界”の人のセリフだと気づく。
シャンパンを造っているこの村で、飲まなくては人間関係が成り立たない。家族であれ、友達であれ、会う=一緒に飲む、飲み続けることだ。今まで何度となく従兄妹夫婦やその友達と食事をしたけど、飲まない人なんて見たことがあったっけ?

プールは夜、蓋をしなくてはダメ。子供だけでなく、酔っ払って落ちて溺れる人がいるから。

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“別の惑星から来た生き物”と思われている私でさえ、「もうダメ」とグラスを遠ざけると、嫌味を言われる。
ジャン=ピエールのお医者が「飲むな」と言わないのも、この地域では無理なことがわかっているからかもしれない。村八分にされかねない。
ダンスが上手で(私がダンスを始めたきっかけが彼だ)、パソコン相手にタロットに興じ、私の料理を「軽すぎる」と言って、夜中にステーキを食べたりするジャン=ピエールが大好きで、長生きしてほしいんだけど・・・人間フォアグラになるのを宿命と諦めているのかもしれない。

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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


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