「先週、友達からびっくりする電話がかかってきたんだ」とアダム。「『奥さんの心臓の鼓動を日本のTeshimaで聞いたわよ!』って」
アダムはかって同じオフィスを共有していたこともある友達、親友だ。
「なにそれ?」
話は2010年に遡る。グランパレでクリスチャン・ボルタンスキーというアーティストの展覧会があった。“人類の限界と記憶の重要性”を追求しているアーティストで、タイトルは『運命と避けられない死について』。聞いただけで胃が痛くなりそうなエクスポに、2人は行ったわけだ。

グラン・パレ、クリスチャン・ボルタンスキーのエクスポ

ボルタンスキー、グランパレ

その一画に「あなたの心臓の鼓動を録音しましょう」というのがあり、アダムの奥さん(イヴじゃなくて)カリーヌは面白がって録音した。
日本に行っていた彼らの友人が、たまたま瀬戸内海の豊島(てしま)に行き、美術館に入り、カリーヌの心臓の鼓動を聞いた、という美しい偶然。でも、なぜパリで録音された心臓音が、豊島まで運ばれたんだろう?豊島は“瀬戸内海に浮かぶ食とアートの島”だそうだ。

ここが「心臓音のアーカイブ」

豊島 心臓音のアーカイブ
photo:youtube

さらに偶然は、その数日後に、アダムはアメリカの作家のこんな短編を読んだ:心臓移植手術を受けた男性が、退院後ドナーの妻に会いたいと思った。彼女は躊躇ったあげく承諾し、2人は公園で会った。当たり障りのない会話の後、ドナーの妻が「ひとつお願いがあります」
「なんでしょう?」「“あなた”の心臓の音を聞かせてください」
男はシャツの胸を開け、妻はそこに耳を当てて心臓音を聞く。そして2人は泣き出した・・・

すごいメロじゃない。
アダムはこの短編を読んでなお更、カリーヌの心臓音の話に感動したそうだ。
「2017年に一緒にTeshimaに行かないか?」
奥さんの心臓音なら毎日でも聞けるじゃない、という言葉がでかかって、5年前に娘とその友達と行った四国が蘇った。今まで行った地方の中で、一番印象に残っている場所。
「今年は旅行しすぎたんで、来年は大人しくすることにして2017年・・・」とアダム。
心惹かれた。カリーヌの心臓音を聞きに豊島に行こうか・・・


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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