父親の転勤でボンベイにやってきたルイーズ。親子3人は引っ越し先が決まるまで、高級ホテル、タージ マハル・パレスのスィートに泊まっている。
ある晩、両親は夕食に出かけ、ルイーズはひとりホテルに残った-18歳、親と別行動を取りたい年頃だ。DVDを観ていると、館内で銃声のような音。彼女はホテルがテロ襲撃に遭ったことを知る。部屋から出られない。外界との唯一の繋がりは携帯電話。ルイーズはバスルームに隠れ、なんとかして彼女を助け出そうとする父親と連絡を取りながら、ひたすら待つ・・・

ニコラ・サーダ監督の『Taj Mahal/タージマハル』

映画 『タージマハル』

2008年11月26日、ボンベイは連続テロの的になった。2人のテロリストはタージマハル・パレスのお客15人を人質に取り、その他のお客は部屋に隠れ襲撃が終わるのを待った。なんと3日間。ニコラ・サーダは、ひとりで部屋に閉じ込められていた18歳の女子の話を聞き、この長編を撮ることに。

映画は襲撃者や銃撃戦の場面を一切見せない。バスルームに隠れるルイーズと彼女が聞く音-銃声、叫び声、爆発音-だけ。
それは襲撃を見せられるより遥かに怖い。カメラは密室の中で、ルイーズの変化を追う:最初、外で何が起きているか知りたいと思い(廊下に出たり、窓から見たり)、間もなくパニックになり膝を抱えてバスルームの隅にうずくまる。

映画 『タージマハル』

ほかになす術がなく頻繁に電話するが、父親の励ましは別世界のセリフに聞こえる。

映画 『タージマハル』

時間が経つうち、生き延びたいという本能が目覚める・・・

11月13日の同時テロの後、プロデューサーや配給会社は相談した結果、予定通り公開することに決めた。
「今、世界で何が起こっているかを見せるために」「それを話し合うことのきっかけを作るため」・・・

「生きるか死ぬかの恐怖を体験した人にとって、それを何度も他人に話したり反芻することがカタルシスになる」同時テロ後に何人かの精神科医や分析医が語っていた。
“自分もその場に居合わせたかもしれない”と思う(私のような)住民たちにとっては、その場にいた人たちの恐怖を少しでも理解する助けになる。
両者の運命を隔てるのは些細なことだったりする。あの晩、娘は11区のカフェで友達と飲む約束があったけど「あまりピンとこない顔ぶれ」とウチにいた。友達は明け方までカフェに閉じ込められた。
フランス語の表現にあるように「悪い時に悪い場所にいた」・・・運命論者になるしかない。

Taj Mahal
ニコラ・サーダ監督作品
主演:ステイシー・マルタン、ルイ=ド・ドゥ・ランクザン
1時間31分
フランスで公開中

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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


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