その日。彼女は学校に娘を迎えに行くため、いつもより早くシャルリー・エブド編集部を出た。
出るなり、数人の男に囲まれ、編集部に通じるドアのコード番号を押せ、とカラシニコフを突きつけられる。

彼女はCocoというペンネームの風刺画家。

シャルリー・エブド一年後

カメラに向かってしゃべりながら、表情は変わらないのに涙が溢れてくる。まるで彼女の意思と関係ないように、涙は溢れ続ける。
「銃声が聞こえた。確実に殺されると思った。娘には二度と会えない・・・」
奇跡的に彼女は生き延び、被害者であると同時に「彼女がコード番号を押さなかったら、12人が惨殺されることはなかった」という心無い批難も受ける。
「あの状況は、なってみないとわからない・・・」とCoco。大半の人は「自分が彼女の立場でも同じようにした」と擁護するけど、罪悪感はずっと消えないだろう。彼女の人生は変わってしまった。

1月7日のシャルリー・エブドのテロ犠牲者のオマージュとして撮られた『l’Humour à mort/命がけのユーモア』。

シャルリー・エブド一年後

ドキュメンタリーは、1月11日のフランスあげての大デモ行進で始まる。
『それまで眠っていたフランスが目覚めた・・・』ほんとうにそういう印象だった。

Cocoの他に編集部の生存者が、長い付き合いだった犠牲者たちの思い出を語る。それまでにもテロ行為や脅迫を受けていた風刺画家たちは、危険を十分感じていた・・・
カタルシスの意味で作られた作品が、11月13日の同時テロで別の意味を持ってしまった。

今週の水曜日に出るシャルリー・エブド。亡くなったシャルブ、カブ、オノレ、ウォランスキー、ティニョーと現在の風刺画家たちのデッサンを集めた記念号。いつもの2倍、36ページで同じ料金、3ユーロで100万部刷られる。
『一年後:殺人者は相変わらず逃げている』

シャルリー・エブド特別号

この表紙は出る前から論議を呼んでいる:「宗教と過激派、イスラム教とイスラム原理主義を混同している」
確かに、ふつうのイスラム教徒が偏見の目で見られ生きにくくなって、いい迷惑だ。
「シャルリー・エブドは描きたいことを描く権利がある。私は、この雑誌が憎しみのプロパガンダであると思う権利がある」
表現の自由の擁護と、シャルリー・エブドの内容に賛同するのは全く別のことなのだ。こういう意見が聞かれるようになったのは安心。

とにかく。自由に、人生を楽しんで生きたいという願望は、負の力より強いと信じつつ、みなさんの新しい年が平穏で、小さな幸せに満ちていることを願っています。
今年もどうぞよろしく!

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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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