NGO(非政府組織)『Move for kids』は、内戦で孤児になった子供たちを助けるためソマリアにやってきた。リーダーのジャック・アルノーとその彼女、ボランティアの看護婦、医師、ミッションを撮影するジャーナリストがメンバー。

しかし、最初から予定通りにことが運ばない:飛行機が故障し、4X4で砂漠を横断していると、ゲリラの銃弾が飛んでくる。孤児がいると言われた村にいなかったり、5歳以下と年齢制限をしているのに、どう見ても10歳以上の子供がいたり、自分の子供を押し付けてくる母親がいたり・・・村長、ガイド、飛行機の手配人は、札束を出さないと本当のことを言ってくれない。

しかし『Move for kids』のほうも実は二枚舌だった。表向きは、孤児たちを施設で預かり、現地で教育する。実際は、養子を探しているフランスのカップルのたちのために、孤児たちを連れ帰ろうとしている。しかもカップルたちは、このミッションにお金を出している。養子縁組は受け入れ側の厳しい審査があり、縁組が決まらない前に、お金を出させることは違法だ。“子供をお金で買う”に等しくなってしまう。
その上、ソマリアには出生届がないので、書類に記されている子供の年齢を信じていいものか。年齢がわからない子もいて、歯の生え方で推定するしかない。第一、子供たちは本当に孤児なんだろうか?
そのため『Move for kids』の内部でも足並みが揃わず、口論と重苦しい沈黙が繰り返される。途中で帰っていく医師や看護婦もいた。1ヶ月の猶予がどんどん過ぎていく・・・

2007年、NGO『Arche de Zoé/ゾエの箱舟』がチャドで孤児脱出を試みた。事の結末を覚えている方もいるはず(私は忘れていた)。その事件を映画化した『les Chevaliers blancs/白い騎士たち』。

映画『Les Chevaliers blancs/白い騎士たち』

“人道的支援活動”と謳った行為の裏側、善人だか詐欺師だかわからないリーダー、ジャック(ヴァンサン・ランドンがすごく上手い。何の役をやってもハマる俳優)、アフリカの貧困、“袖の下”を払わないと動かない人々・・・などあまり知らなかった世界が描かれる。

映画『Les Chevaliers blancs/白い騎士たち』

リーダーの彼女役、ルイーズ・ブルゴワン。いつも不機嫌だけど、子供を抱くと優しい表情になる。

映画『Les Chevaliers blancs/白い騎士たち』
photos:allociné

食べ物も衛生状態も不十分で、学校にも行けない子供たちは、先進国の子供たちと違いすぎる。
お金が絡んだ“支援活動”だったかもしれないけど、やせ細った子供たちをお風呂に入れ、食事を与え、健康診断をするメンバーたちの熱意は本当だったのでは?人間はみんな黒と白の中間だから・・・
楽しい映画ではないけど、観たあとに色々残る。

les Chevaliers blancs
ジョアキム・ラフォース監督作品
主演:ヴァンサン・ランドン、ルイーズ・ブルゴワン、ヴァレリー・ドンゼル、レダ・カデブ
1時間54分
フランスで公開中

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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


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