永遠に別れるのにかかる時間

ベルリン。夏。サシャは仕事に出かけるため起きる。彼女は30歳そこそこ。隣のロランスはまだ眠っている。
アトリエに出かけ仕事をするサシャ。夕方、うちに向かう途中、サシャはパッタリ倒れて・・・死んでしまう。

若すぎる、突然すぎるサシャの死は、一緒に住んでいたロランスにとっても、家族にとっても受け止めがたい。
恋人が亡くなって初めて、ロランスはサシャの家族(フランス人)と近しくなる。サシャの妹ゾエは結婚して、子供が1人いた。
「ゾエの耳がサシャのと同じなのに気がついた」と友達につぶやくロランス。
「あなた、耳なんか注意してみる人だったの?」(村上春樹?)
「いや、別に・・・」

映画『Ce sentiment de l'été』

パリ。1年後の夏。ロランスはゾエに会いに行く。
サシャのことを話すのはまだ重く、2人は言葉少なに歩く。ゾエは夫と別居していることを告げる。
2人が持っている感情は、大切な人を亡くした者同士の同類愛?それとも他のもの・・・?
ゾエもロランスもその感情に名前をつけることができない。

映画『Ce sentiment de l'été』

ニューヨーク。さらに1年後の夏。ゾエがNYで働くようになったロランスに会いにくる。
ゾエは離婚したことを告げる・・・

『Ce sentiment de l'été/あの夏の感情』は、会話や沈黙、視線・・・を通して、“死別”を受け止める過程、それにかかる時間を、3回の夏を通して描いている。
映画『Ce sentiment de l'été』

これといって何も起こらず、時に退屈に感じる場面の積み重なりが、次第に形をなし、最後で意味を持ってくる。
監督はフランス人、Mikhaël Hers(ミヒャエル・ハース?)。こういうデリケートな映画、よく作れたな、と。
・・・作れたのは、ロランス役のアンダース・ダニエルセン・リーのせいかも。

この俳優を初めて見たのは、ヨアキム・トリアー監督の『オスロ、8月31日』(2011)。

映画『Oslo, le 31 août』
photos:allociné

依存症治療センターから外出許可をもらい、オスロの町で48時間を過ごすジャンキーの話。ドリュ=ラ=ロシェルの『Feu follet/ゆらめく炎』が原作で、ルイ・マルが『鬼火』で映画化している。
澄んだ目、明るい笑顔とは対照的に、頭の中は陰鬱で悲観的な青年を、それは地味に、繊細に演じたアンダース・ダニエルセン・リー。私は一度でファンになり、この作品、3回観た。

彼はノルウェイ人で37歳、本業はお医者さん(!)。楽器もいくつか弾けて、ジャズポップスのアルバムを出している。ヨアキム・トリアーの最初の作品(2006)に出た後、ノルウェイで一番セクシーな男性のランキングに入った(注目したのは私だけじゃなかった・・・)
『Ce sentiment d’été/あの夏の感情』でも「演技してないんじゃない?」と思うくらい自然で、存在感がある。
後々まで残る作品、お薦めです。

Ce sentiment de l'été
ミヒャエル・ハース監督作品
主演:アンダース・ダニセルセン・リー、ジュディット・シェムラ
1時間46分
フランスで上映中

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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


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