地方の町に暮らすヴァンサンは、限られた世界で平凡な毎日を送っている:お父さんから受け継いだヘア・サロンで髪を切る、口うるさい母親の買い物をし一緒にご飯を食べる、太った猫の世話をする・・・パリで就職した“恋人”は、週末帰るといいつつ毎度ドタキャンが続き、半年も会っていない。

ある日、たまたま入った食料品店の女主人にヴァンサンは見覚えがあった。
「どっかで会いませんでした?」
「いいえ」

映画 『ロザリー・ブルム』

いや、絶対会っている、と確信するヴァンサンはその女性、ロザリー・ブルムを尾行し始める。
彼女は町外れの一軒家に、人目を忍ぶようにひっそり暮らしていた。

映画 『ロザリー・ブルム』

ところがそのヴァンサンもまた尾行されていた。

映画 『ロザリー・ブルム』

この“尾行する/される”がもたらす物語を、ヴァンサン、ロザリー、その姪のオード(写真上)の3人がそれぞれのヴァージョンで語る。観ているほうは、パズルが少しずつ出来上がって、絵柄が見えてくるような面白さ。
カミーユ・ジュルディ(知らなかった)のバンド・デシネが原作になっている『ロザリー・ブルム』

映画 『ロザリー・ブルム』

孤独で、勝気で、訳ありそうなロザリーを演じるノエミー・ルヴォヴスキー。人生に疲れたよう雰囲気と、相反する明るさが同居する。どんな過去を持つ?と想像力を掻きたてて上手い。
ヴァンサンはテレビのお笑いタレントとして登場したキアン・コジョンディ。母親は懐かしいアネモヌ。『サンタクロースはクズ野郎』から何十年?イジワル婆さんがピッタリ。
監督はジュリアン・ラプノー、『シラノ・ド・ベルジュラック』『ボン・ヴォヤージ』のジャン=ポール・ラプノーの息子だ。

平凡なルーティンの生活に波風を立て、ぽっと明かりを灯す人間関係。『アメリー』を思わせる、現実味ある御伽噺で、ほんわり温かくなる。お奨めです。


ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村

スポンサーサイト
コメント
コメントの投稿
プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

カレンダー
04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
最近の記事
カテゴリー
おすすめ書籍
RSSフィード
おすすめコスメ
フランスに行くなら
プロヴァンスの田舎町をまわる1日
アーカイブ