ナタリーは50代の高校の哲学教師。高校生たちが“自分で考えることができるように”、色々な思想を伝えることに情熱を持っている。私生活はやはり哲学教師の夫と成人した子供2人。インテリ夫婦の静かな暮らし・・・それをかき乱すのは一日に何回も電話をかけてくる母親。返事をしないと消防士(フランスでは急病や怪我のとき消防署に電話する)を呼ぶ始末。元モデルだった彼女は、老いることに耐えられず欝になっている(写真右、左がナタリー)

L’Avenir/未来』

ある日、夫がナタリーに告げる。
「ほかの女性に出会ってしまった」
「どうして隠しといてくれなかったの?」とナタリー。
「その女性と一緒に暮らしたいと思っている」
「私のこと、ずっと愛してくれると思っていた・・・」
「愛しているよ・・・」(よく言うよ)

夫と娘。「パパ、二股かけないでけじめをつけてよ」「ギョッ!・・・」

L’Avenir/未来』

青天の霹靂をナタリーは騒がずに受け止めるけど、彼女を慕って会いに来る昔の学生ファビアンに、思わずグチが出る。
「40過ぎたら女なんてゴミ箱よ」(おお!フランス女がそういうこと言っちゃダメでしょ)
「君くらいの女性ならきっといい人が見つかるよ」というファビアンの言葉も、気休めにしか聞こえない。

ミア・ハンセン=ラヴの『L’Avenir/未来』。
右がファビアン役ロマン・カリンカ。なかなか美男。

映画『L’Avenir/未来』
photos: allociné

平穏と思っていた人生が突然崩れた中年過ぎの女性を、彼女がどうやって”ひとりの未来”を築いていくかを、細やかにリアルに描いている。
ベルリン国際映画祭でOursd’argent/監督銀熊賞を取った。

イザベル・ユペールが(ま、いつも上手いけど)すごい説得力。夫は去り、子供たちは独立し、思いがけずやってきた“自由”を、泣き笑いで受け止めるナタリーが素晴らしい。殆ど演技していないような、ちょっとした表情、沈黙、歩き方、声を押し殺して泣く姿・・・で彼女の強さと弱さを表現する。この女優さん、60過ぎているんだけど、どこか少女っぽさが残り年齢不明。

情熱を持てるものがある人の強さ、そして中年過ぎからの『未来』というタイトルに、映画のメッセージが感じられる。後に残る作品。

L’Avenir
ミア・ハンセン=ラヴ監督作品
出演:イザベル・ユペール、アンドレ・マルコン、ロマン・カリンカ
1時間40分
フランスで上映中

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コメント
映画観てきました
こんにちは。
ブログ拝見して、興味を持ったので、今日行ってきました。結局、主人公と昔の学生は何も無いんですね。そして、孫が生まれたことで、未来を意識させるような描き方でしたが、もし自分が子供がいなくて離婚した女性だったら、どう未来を描くかなあと思いました。仕事があればいいですが、もし仕事も特にやりがいがなかったとしたら。
私には面白い映画でした。一緒に行った彼はつまらなかったそうですが。映画館は平均年齢60歳以上という感じで、高齢のカップルも多かったです。
いい情報ありがとうございました。
Re: Kiki様
私も昔の学生と何かあるかと一瞬期待(?)しました。ナタリーが世代のリンク役になっているということで、なくて正解だったと思います。夫は「すごくよかった」と言ってましたけど、女性のほうが感情移入できる作品でしょうね。
気に入っていただいて嬉しいです。
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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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