Category : グルメ・レシピ

豚に真珠・・・

友達のグルメ夫婦がうちに来るときは-会って話すのは楽しいけど-何を作ろうかで頭を悩ます。マダムはレストランを開こうと思った、というほどの料理好き。いつも凝った料理を(好きか嫌いかは別として)作り、2人ともワイン通。太刀打ちできるのは日本食しかない。
そこでメニューは鶏ひき肉の和風ロールキャベツ、タラとネギの白みそソース、インゲンの胡麻和え(ぎりぎりまでかかり、写真どこではなかった!)、これならさすがのグルメも喜ぶであろうと。

ところが。2人が美味しいと言ったのは、ピカールのアペリティフ、シェーヴルチーズ、ズッキーニ、トマトのケーキ。
これは美味。飽きない味。

ピカール

「これ、たかこが作ったの?」
「・・・」

それとデザート。ランドメーヌのアプリコットタルト。
皮が薄くて(その名もtarte fine=薄いタルト)、リンゴ、梨、秋はレーヌ・クロード(プラム)などある。

ランドメーヌ

彼らが帰ったあと、
「ちょっと聞いた?私の作ったものには何もいわないで!」
「1995年のメルキュレにも何も言わなかった」と夫。
「でもワインはあなたが作ったんじゃないでしょ」

翌日、ふと「あの夫婦は異国料理が好きじゃないのかも」
田舎の従弟に、初めて日本食を作ったとき「あなりお腹が空いていない」とあまり食べなかった。
いつもよく食べて飲む彼にしては珍しい・・・
ところが2回目も「食欲がない」。もしかして、と後で奥さんに聞いたら、
「夜中にステーキ食べてたわよ」
「 !?」
フランス人に限ったことじゃないけど、自分の守備範囲以外の食べ物は美味しいと思えない人たちなんだ。
そういえば義父は、握り寿司をパンと一緒に食べていた・・・


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バスティーユ広場からヴォルテールに向かうrue de la Roquette/ロケット通り。
ここには何軒か“Restaurant japonais”を謳っている店があるけど、Fujiyama 、Sakura、 Yakidai(焼鯛!)・・・日本人が絶対つけそうにない名前で、実際、どこかの工場で大量生産された寿司と焼き鳥、塩辛いだけの薄い味噌スープを出している。パス。

ところがある日、この通りを歩いていたら、黒板に日本語の手書きメニュー。シックな店構えで名前は“KAWAMOTO”。
おお、本物の日本レストラン!
一緒にご飯を食べるときは「日本食!」という友人と早速行ってみた。
20席くらいの小さなお店で、奥の厨房に男性がひとり、サービスの女性がひとり。オープンして3か月だそう。
お昼のメニューは前菜盛り合わせ、茄子の味噌田楽。ここまでは一緒で、メインは、鮭、その日のお魚、牛肉の照り焼きか醤油バター焼き、ちらし寿司、握り寿司から選ぶ。
ちらしか握りで迷っていたら、「日本人の方はよくちらしを選ばれます」と聞いて、ではちらし!影響されやすい。

前菜:インゲンの胡麻和え、ワカメとキノコのお浸し、アヴォカドのタマゴマヨネーズ、枝豆、果物はライチでもブドウでもなく、聞くのを忘れたけど美味しかった。
友人は枝豆の皮まで食べていた。

レストラン KAWAMOTO

揚げ茄子に西京味噌の田楽。美味。ちゃんと木のスプーンがついてくる。
「皮も食べられる?」と友人。またか。「試してみたら?」
茄子はトロトロでイタリア茄子?もしかして日本の茄子?と思ったら「ふつうのフランス茄子です」

レストラン KAWAMOTO

浅めのおどんぶりに入ったちらし寿司。金糸タマゴが敷かれ、すし飯も美味しい。

レストラン KAWAMOTO

これにデザートかコーヒーで20ユーロ。
この友人とは、オペラの日本レストランは何軒か行ったけど、特にお昼のメニューはそこそこ。
こんなに丁寧に作られた美味しいお昼は稀だ。果たして彼にこの違いがわかっただろうか?枝豆の皮まで食べちゃって・・・

KAWAMOTO

43-45 rue de la Roquette
75011
火~土、12-14h、19-22h

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数年前に料理雑誌『Cuisine&Vins』で見つけたレシピは、ひき肉ではなくて塊肉を使うので、コクがあるというか、プロっぽい。と自分で言うのもナンだけど、作る度に評判がいい。週末にお試しください。

〔材料〕
牛肉はマクルーズなどの煮込み用の塊を800~1㎏(5-6人分)
ニンニク2かけ
玉ねぎ2個
赤インゲン(haricots rouges)の缶詰(400g)
トマト果肉缶詰(400g)
牛肉ブイヨン1個
クミンシード大匙1
オレゴン大匙1
チリパウダー小匙2

ポトフにも使う赤い部分。後ろ足のジットでもいいけど、ややゼラチン質。

牛肉部位


① 牛肉を2-3㎝角に切る(けっこう疲れるので男性にやらせるといい)
② 玉ねぎを同じくらいの角切りに。
③ ニンニクは2つに切り、芯を取る。
④ ル・クルーゼなどの煮込み鍋にオイルを入れ、ニンニク、玉ねぎを5分炒める。
⑤ 続いて牛肉を入れ、やや強火で、全体に焼き色がつくように木べらでかき回す。
⑥ クミンシード、オレゴン、チリパウダーを加える。
⑦ 水、ビーフブイヨン、トマトの缶詰(丸ごとならざく切りに)を、ヒタヒタ(牛肉が隠れるくらい)に入れる。
⑧ 蓋をして中火で、時々かき回しながら約2時間。水けを切った赤インゲンを入れて約1時間。

サイトで見つかるレシピは殆どひき肉を使っている↓。
肉をサイコロ状に切る(切らせる)だけでずいぶん違うんだけどなぁ・・・

チリコンカン
photo:marmiton
付け合わせはもちろんご飯(バスマティも合う)。娘は、彼女が“œuf parfait”完璧なタマゴ、と呼んでいる半熟卵を添えるのが好き。

フランスでは“Chili Con Carne/チリコンカルヌ”、日本では“チリコンカン”なのね・・・なぜ?と考えたところ、こっちでは力づくでフランス語式に発音している、というだけのことみたい。

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一枚ずつラップしてあるスライスチーズ
ハンバーガー用、クロックムッシュー用に、ラップしてあるチーズは便利で時々買っていた。ところが、チーズが51%以上入っていないと“チーズ”と呼んではいけないのに、スライスチーズはこの条件を満たしていない。つまり半分以上が化学的合成のチーズもどき。
アペリティフによく出てくるVache qui ritも同じ。溶かしチーズにバター、コンスターチ、牛乳、塩だと!

避けるべきスーパーの食品:スライスチーズ

ニュテラ
子供がいるウチには(いないウチにも)必ずひと瓶あるフランス版ピーナツバター。
「遊んで、学んで、踊って・・・盛りだくさんな子供の一日は美味しい朝食から:ヘーゼルナッツと脱脂乳から作られたニュテラ」などと宣伝しているけど、実は・・・(上から)ヤシ油、精製糖、粉乳、ヘーゼルナッツ、カカオ、乳化剤。
ウソの広告していいの?

避けるべきスーパーの食品:ニュテラ

マーガリン
バターより健康にいい、と信じている人が多いけど、実はトランス脂肪酸(不飽和脂肪酸)を含んでいてたくさん食べると心臓疾患の一因になる危険。義父も「不味い」と言いつつ、身体にいいとマーガリンを食べていた・・・

ワサビ(!)

本物のワサビはワサビという高価な(そうだったの?)植物。ヨーロッパに出回っているのは、ホースラディッシュとマスタードを混ぜたのを着色したもの(日本製のチューブワサビは何からできている?)

ホワイトチョコレート

カカオバターを20%以上含んでいないものはチョコレートと呼んではいけない。にも拘らず自称チョコレート。その55%は砂糖と人工甘味料、カカオバターの代わりに植物油。チョコレート好きがホワイトチョコを好きじゃないわけだ。

避けるべきスーパーの食品:ホワイトチョコ
photos:gourmand.viepratique.fr

その他にも白糖(漂白風呂に入れる)、ケチャップ(自然素材は全く入っていない)、メープルシロップ(実はとうもろこしのシロップ!)・・・なども“食べちゃいけない”に入っていた。パックのハムやスモークサーモンも、安いのはかけらやクズを集めて、塩で重さを増やしていると聞いた。見かけはそっくり。

要するに、工場大量生産で作られている安い食品は人工的なものが山ほど入っているってことで、それは想像に難くない。日本でも似たり寄ったりでは?
ま、気にし始めたらキリがないし・・・今夜は何を食べようか?

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日本から来た友人とポンピドゥーセンター近くのレストランMonjulに晩ごはんを食べに行く。

マレ、レストラン『モンジュル』

メニューを見ると・・・アララ、これは複雑。前にお昼に来たときはこんなじゃなかった。
例えばアントレのひとつ、タイトルは「アンディ・ウォーホールスタイル」
スモーク・ハドックのカルパッチョ、カリフラワーのババロア、ジャガイモと野菜の花びらチップス、野菜のブイヨンゼリー・・・
これらを一緒に食べるとどんな味になるんだろう? なんでアンディ・ウォーホールが出てくるんだろう?
隣のテーブルの男性が(感激した様子もなく)食べているのがこれらしい。アーティストの友人は「盛り付けがウォーホールっぽいってことじゃない?」なるほど。パス。

「日の出に横たわる鮭」:鮭のしょうゆマリネ、インゲン、ワケギ、ワカメ、ゴマ油、しょうがとライム入り酒、ご飯のチップス、昆布の新芽・・・
100%ニッポンに挑戦するわけね。これにしよう。
フランス人が日本の食材を使うと、意外な発想に驚くことがあるが、これはふつうのワカメの酢の物だった。“横たわる”はすの鮭は、角切りが2つだけ。緑の葉っぱがご飯のチップスらしいけど、「これ食べれるの?セルロイド?」という食感。

マレ、レストラン『モンジュル』

メインには「タイ風サイケデリック万華鏡」:タラの揚げドーナツ、ジャガイモと野菜のバターソテー、ほうれん草、うずらタマゴとアイオリ(どこがタイ風?)
または、アルデンテの野菜詰め鶏のフライ、ショウガと香草、クリーミーなご飯のムース、ピラフ、タイカレーのピクルス、チンゲンサイ。タイトルは「四方八方に広がる混沌」 !!

この店の特色は、タイ、日本、中東(ファラフェルもあった)フランスなど世界中の食材や料理法を駆使し、その結果はあまり気にしない、ということになる。
「消去法で選ぶしかないか・・・」と友人がつぶやたとき、逆隣のテーブルに、小さいイカが雲の上に漂っているような、芸術的な皿が運ばれてきた。
「アレにしようかな」
「アタシも」

マレ、レストラン『モンジュル』

イカの中には煮詰めたラタトゥイユ、一口食べて友人が、
「コレ、何かに似てる・・・イカ飯!」
小さいカップに入ったのはジャガイモのピュレでものすごくピリ辛。通りかかったギャルソンに聞くと「黒コショウ」というお答え。ピュレの中に黒コショウを瓶ごと落としたに違いない。
黒い網状はイカ墨のから揚げ、こっちは塩辛い。白いエマルジョンはあまり味がなかった。
それぞれ独創的で盛り付けも美しいけど、美味しいかと聞かれると返答に詰まる。自ら認めているように“四方八方に広がる混沌”・・・懲りすぎるとこういうことになる。

デザートも、「ホワイトチョコとワサビのアイスクリーム」とか「カマンベールのマカロンにアプリコットのチャツネ」など凝り続けていた。
しかしレストランがほぼ満席であるのを見ると、フランス人は「エキゾチック!」「斬新!」と喜んでいるらしい。

Monjul
28 rue des Blancs Manteaux 75004
休:日曜、月曜
夜は3皿37.5ユーロ

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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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